下記の記事は東洋経済様のホームページからお借りして紹介します。(コピー)です。
気は抜けないもののコロナ感染状況が落ち着きを見せ、日本はリベンジ消費が爆発しそうな時期を迎えているが、浮かれてばかりはいられない。食品メーカー各社が、次々と値上げを発表しているからだ。2022年の年明け以降に予定されている値上げだけでも、これだけある。
2022年、年明け以降に予定されている食品値上げ
食パン・菓子パン…1月から山崎製パンは食パンを平均9%、菓子パンを平均6.8%。敷島製パンも一部商品を約4~14%、フジパンも食パン、菓子パン、総菜パンなどを平均8%値上げ。
パスタ…2月からニップンがパスタ・パスタソース約2.0~9.5%、乾麺約1.5~5.5%、日清フーズがパスタ、パスタソース製品約3~9%値上げ。
冷凍食品…2月から味の素冷凍食品がハンバーグ類・チキンの香り揚げなど18品(容量改定含む)を約 4~13%、ニッスイはたこやきやちくわの磯辺揚げなど家庭用冷凍食品63品を約4~13%、日清フーズは約4~7%、マルハニチロも調理品で約2%~10%の値上げ。
ちくわ・かにかま…2月からニッスイは家庭用すり身製品50品を約5~13%の値上げ。フィッシュソーセージやチーズかまぼこも含まれる。紀文も2月28日から魚肉練り製品を平均約 8%値上げ。
ハム・ソーセージ…2月から日本ハムが5%~12%(業務用食品なども含む)値上げ。
醤油…2月からキッコーマンは対象商品を約4~10%値上げ。
コーヒー…1月からネスレ日本は「ネスカフェ エクセラ」などレギュラーソリュブルコーヒー製品を約 10~17%などの値上げ。
ジャム…2月からアヲハタがジャム及びホイップなどを約10~23円値上げ。
マヨネーズ…3月から味の素が家庭用マヨネーズおよびマヨネーズタイプ製品を約3~9%、キユーピーもマヨネーズなどを値上げ。
ポテトチップス:1月31日から順次、カルビーは7~10%の値上げや容量変更。2月から4月にかけて、湖池屋はポテトチップスを6~11%程度値上げや容量変更。
飲料用の紙パック:4月から日本製紙が牛乳・清涼飲料向け液体用紙容器の価格を引き上げ。各飲料の価格への影響はまだ未定。
他にも、毎日値上げのニュースが届く。この上げ率が、そのまま店頭価格に跳ね返るわけではないだろうが、これだけ並ぶと「新春・値上げ祭り」とでも言いたくなる。「容量変更」は、価格は据え置くが内容量を減らす措置で、いわゆるステルス値上げと呼ばれるもの。メーカーの苦しい立場がうかがえる。
ほかにも油脂や砂糖、小麦粉が上がっているので、それを原材料とする商品にも影響が出るだろう。例えばケーキ。クリスマスや年末年始の手土産に影響が出ないか気になるところだ。さらに、原油などのエネルギー価格も当然コストに乗ってくるので、高騰が続けば値上げされる食品はますます出てくるだろう。
この値上げの原因については以前の記事【「安いモノ天国」日本のこの幸せな生活が終わる日】で触れた。コロナ起因のコスト高騰のほうはやがて収まるかもしれないが、一度上げた価格をまた下げましょうとなるとも思えない。もはや食費が上がるのは仕方がないので、元の予算自体を上げるほかはないと書いたものの、ここまでずらりとそろうと何らかの対策もしたくなる。これからわれわれにできる節約法はないのだろうか。
節約おかず食材もピンチに?
今回の値上げがショックなのが、これまで食費のお助け食材と言われていたものが上がることだ。1つは冷凍食品。もともと冷凍食品は価格が変動しにくく、かつ定期的に値引きセールが行われるので、節約アシスト食品として重宝している家庭も多いはずだ。
今回は食肉や小麦粉・油の値上げが絡む複合的な価格改定のため、値上げされるのはハンバーグや揚げ物など総菜系が多い。冷凍野菜などの食材系はまだ少ないことは助かるが、輸入ものは今後も物流コストの影響を受ける可能性もあり、楽観できない。海外を通さない国産野菜のほうが安くなるかもしれない。近場レジャーに行くなら、ついでに直売所などで野菜や食材を仕入れるようにしたい。出かける際は必ず保冷剤と保冷バッグ、あるいはクーラーボックスを車に積んで出かけることをお勧めする。
個人的に最も痛手なのは、ちくわや魚肉ソーセージなどの激安食材まで値上げ対象になったことだ。ちくわはわが家の冷蔵庫から欠かしたことはない。野菜炒めの肉が足りないときはちくわをプラスするし、ハンバーグや餃子の種にもちくわを細かく刻んで加える。かさ増しだけではなく、味出しにもなるのでわが家ではスタンダードなレシピだ。
磯辺揚げは言わずもがなの節約おかずだし、魚肉ソーセージは焼き豚代わりに刻んでチャーハンの具にすると優しい味わいになる。この調子では同じすり身商品であるはんぺんやさつま揚げも上がるとなると、冬の定番おでんがピンチだ。
ちくわ、かにかま、魚肉ソーセージについては、スーパーよりドラッグストアで買うほうが比較的安い。ドラッグストアは食品で稼ぐ必要がなく、客寄せとして激安に下げることが多いためだ。
練り物のほか豆腐や納豆など日配品と言われるものも同様なので、もし近所に食品を扱うドラッグストアがあるなら、まずドラッグストアに行って安めの食材を買い、残りの買い物はスーパーで、という順序で回るのがいいだろう。ドラッグストアは共通ポイントが使えたり、スマホ決済の高還元率キャンペーン対象になることが多いので、そういうときを狙うのもひとつの手段だ。
これでは足りないと感じたら潔く予算を上げる
これから値上がりしそうな品目を見ると、食費は1割程度増えそうだと覚悟したほうがいい。
そうした中、赤字を出さずに家計管理をする秘訣は、適正な予算を決めることに尽きる。非現実な目標値を目指しても、結局守れないからだ。
そのうえで、予算内に収める工夫をする。そのために大事になるのが買い物の工夫となる。「まとめ買い」がいいか、「その都度安いもの買い」がいいかについては、住んでいる環境でも異なる。
車で買い物に行く人はガソリン代を考えると、まとめ買いのほうがいい。こちらを選ぶなら、先に1週間分のメインおかずを決め、予算も1週間分の予算を使い、大容量パックを買う。またはネットスーパーを使うのもありだろう。ある程度まとめ買いするなら送料無料ラインをクリアできるだろうし、画面上で税込みでの購入金額がわかるので予算管理もしやすい。子どもに店頭でねだられてお菓子を買いすぎた、ということも防げる。
他方の「その都度安いもの買い」は、地元のスーパーやドラッグストアに徒歩などで気軽に行ける環境の人に向いている。予算は日割りにして金額内に収めるのが原則。メリットは、日替わりでセール品が買えることだが、安さに目を奪われ必要以上に買いすぎる落とし穴もある。それを防ぐためには、予算に対し何品買えるかのイメージを持つことが大事だ。
もし食費の予算が月5万円で、うち米・調味料代が5000円とすると、1日当たりに使えるのは約1500円。もし、カートに10品入っていたとすると、すべてが150円以内でない限りは買いすぎとなる。安いからという理由だけでカートに入れたものは棚に戻そう。
食費に入るもの・入らないものを見直してみる
ひと口に食費と言っても、その中身は家庭によって違う。いちばん多いのは、外食費を含むか含まないか。コロナ禍で外食が激減した家も多いだろうが、そのぶんテイクアウトなどが増えているかもしれない。純粋な食費なのか、外食やその代替えとしてのテイクアウトも含んだ金額なのか、一度仕分けしてみるといい。
外食が多いなら、それは日々の買い物と別立てに管理したほうがいいだろう。外食をレジャー費や交際費のほうで賄えば、コロナで食費がどんどん増えたと嘆かずにすむ。
もう1つは、アルコール類をどう扱うかだ。これは嗜好品で、厳しめに言えば食費ではないという考えもある。夫婦ともが晩酌が好きなら、嗜好品はお互いの小遣いから出し合うのもひとつだろう。スイーツやお菓子をついつい買ってしまう人も、それは嗜好品なので食費ではなく小遣いから出すというルールにすると、そのぶん食費が楽になる。
筆者は缶ビール代を自分の小遣いから出すので、350ml缶120円(ビール系飲料として計算)を30日払うとして、なんと3600円も食費を助けていることになるのだ。アルコール類を食費から出している家計は、今日からでも遅くはない。主に飲む人の小遣いから徴収することにトライしてはどうだろう。交渉するなら、外飲みが減っている今のうちだ。
年末年始にこそ使える食費節約法
年末年始はモノの値段が上がりやすい時期だが、割安に食品を入手できるチャンスもある。まず、ふるさと納税は年内までが節税となる期限なので、これで食材確保をする。ふるさと納税の返礼品ではプチ贅沢な牛肉や海産物が人気だが、あえてちくわやさつま揚げなど普段使いの食材を選ぶのもいい。筆者もそうしたことがあるが、練り物は高額商品ではないためか量が多めで、しかも冷凍できる。
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缶ビールの返礼品が長期休み前に届くタイミングで寄付したこともあるが、これも家計の助けになってくれた。必ず消費するとわかっている食品や嗜好品が大量に届くと、とても豊かな気持ちになれる。牛肉ばかりがふるさと納税のベストチョイスではない。
また、年始に獲得したいのが食品福袋だ。ここ数年は、密を防ぐため福袋の販売を自粛してきたデパートも多いが、今年は通常モードに戻ると期待したい。筆者は、紅茶やコーヒー、ジャム・はちみつ類の福袋を買い、数カ月分を確保するようにしている。レトルト食品やパスタソース、調味料類の福袋も見かける。それこそ「食費」ではなく「レジャー費」としてプチ贅沢なブランドをあれこれ買っておくのも悪くはないだろう。
よく、「食費は家計全体の◯◯%が目安か」と質問を受けるが、それは無意味な問いだと思う。食費は家計費の中では流動支出に当たるが、流動支出の中ですべての費目が収まってさえいればいい。食費を大事にしたい人なら、ほかの支出を削ればいいだけだ。それに、家族の健康を考えれば食費はむやみに切り詰めればいいとはいえない。やむをえず何かが増えるなら、ほかの何かを削る。それが家計管理というものだ。お金の使い方はオーダーメイドであり、絶対の正解はないのだ。
食品メーカーが続々値上げの表明をするのは、世間へのアピールもあるだろう。この先は「我慢せずいろんなものを上げていきますよ」との決意表明だ。待ち構えている値上げの嵐を前に、リベンジ消費に浮かれすぎないよう気をつけたい。
松崎 のり子 : 消費経済ジャーナリスト
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