自然食品店・オーガニック珈琲店「ろばや」のブログ

小金井にある自然食品店『ろばや』のブログです(※2014年2月閉店しました。珈琲、紅茶、一部の雑貨等は国分寺店にて継続)

「ひろば」。

2015年09月26日 16時35分04秒 | 【コラム】 ロバの深呼吸


集団的自衛権を認める法案成立の前日、国会へ行きました。

国会へ向けて人の波が途切れなく続きます。狭い歩道は出店のない縁日のよう。ラッシュに嫌気がさした人たちや、体力に自信のない人たちは、早々に国会前まで行くのをあきらめ立ちつくします。とりあえず国会をチラリと見て引き返す人も。迷っていると後ろからどんどん人の波がくるので、判断できない人はただひたすら歩きます。国会に近づくにつれ、「ゆっくり進んで下さい」「立ち止まらないでください」と警官の連呼も大きくなります。実際、進めと言われても前方は人でいっぱいだし、国会前が目的地なので、立ち止まるなと言われたって、何処へ行けばいいのでしょう。

この混雑は、足の悪い人や車いす、子供、元気のないお年寄りなどは、はじめからはじかれます。既に人の権利に差があるのです。歩道は混雑でも、車道に陣取る警察官には、ゆったりさわやかな風が流れているようです。車道はとても広く、そのせで大型バスを100台近く整列。更に人々が車道に入らないように柵を立て、ロープでしっかり固定し、1m間隔で警官も整列している。その数は8000人。

後ろにいた女性が警官に「早くスペースを空けないと、けが人がでるよ」としきりに声をかけていますが、「ゆっくり進んで下さい」「立ち止まらないでください」と壊れてしまった蓄音機。若い警官が「ボクらに言われても困るんだよね、上から言われているので」とめずらしく人間的ことば。

ボクらは嫌われものか。はじめから国会前の車道を開放していても困ることはないと思います。車は走っていないし、遠回りしたとしてもせいぜい200~300m。集会参加者は、大型バスと柵で4つに間仕切りされ、いっぱいになると次のスペースに入れられてゆきます。それを見ながら、「ヒツジだな」と思いました。ボクはヒツジではなく、ロバなので、次のスペースが開けられたかといって動きません。数万人の人格のある人々を、数万匹のヒツジのようにどうさばくか。悲しいことです。ギュギュウ詰めの人たちはゴミのように扱われても、最後はほんもののゴミ広いまで行って帰るのです。えらい。目の前で60歳を超えている小柄な女性が逮捕されました。翌日の新聞では、この柵をはずそうとしたらしいのです。真っ当な人間ならそう思うでしょう。

警視庁の立場に立ってみると、そこは「歩道」だから歩け歩けというのは、不当ともいえません。車道は警察官が占拠しており、人々は歩道に集まるしかなく、その歩道は狭いだけ。日本の民主主義は集会やそのために必要な「ひろば」を想定していないのです。「ひろば」の大切さを理解してほしいと思います。

以前、ドイツのフランクルルトへ行ったことがあります。たまたま寄った市庁舎前は広場になっていて、人々はビールやらリンゴ酒やらを飲んでいました。政党紹介なるものが市庁舎内で開かれ、高校の文化祭のように、各部屋ごとに政党紹介があり、展示物やチラシがおかれ、担当者がいてSPDや緑の党など各政党の政策説明などが行われていました。市民は自由に出入し、ボクのような言葉もわからない意味不明の汚い旅行者まで出入りできます。広場は、車も入れないため、主権者が来やすいよう、集まりやすいよう、考えての「ひろば」作りなのかと思いました。政治を主権者に近づけようという配慮でしょうか。

民主主義の発展にとって、ボクは人が集まれる「ひろば」は必要だと思っています。それがなければ、ひろびろした道路を「ひろば」にすべきです。(トモ)

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