ミツバチや昆虫の減少に深刻な影響を与えている疑いが指摘されているネオニコチノイド系農薬。多くの農産物輸出国を抱えるEUではここ数年で規制を強化してきました。その中でこれまで規制に反対していた英国が、2017年11月に全面禁止の方針に転換し、有機農業にとっては明るいニュースになりました。
一方日本は?その翌月にネオニコチノイド系農薬スルホキサフロルの食品における残留基準値を「緩和」、さらにこの農薬の日本での使用を「認可」。環境NGOグリーンピースによるとスルホキサフロルはミツバチに毒性が強いことからアメリカでも使用が制限されている農薬だそうです。
世界的に規制が強まる中、売れなくなったネオニコチノイド系農薬の在庫はどこへ行くのでしょうか。規制を緩めていく日本が在庫処分場になってしまうのではないか、すでにそうなっているのでは、と心配です。
私が住んでいる長野県松本市は数年前から「松枯れ対策」のためネオニコチノイド系農薬(殺虫剤)アセタミプリドを空中散布しています(2017年は住民の反対により一部「延期」)。菅谷市長は原発事故後、子ども達の福島からの疎開を提案していた医師ですが、なぜかネオニコチノイド系農薬については「予防原則」に立たないのです。
国の規制が緩いと、私達は海外で禁止されたような農薬に囲まれて生活することになります。国や市の姿勢には本当にげんなりしますが、オーストラリアでは大手ホームセンター「バニングス」がネオニコ系農薬の販売中止を求めるウェブ署名が始まったことを受けて2018年内の段階的な販売停止を決めたと回答、欧米でも小売業界の「脱ネオニコ」の動きがあるとか。これは消費者を意識したビジネス面での対策なのだと思いますが、あきらめちゃいけないのだな、と思いました。
(夏)