小田実「なんでも見てやろう」
1961年に出版されたベストセラーに青春時代の私も大いに影響を受けた。古本が手に入るので是非、現代の青年にも読んで欲しい。私は小田のモノの見方、考え方は身についてしまったようにも思える。そのいくつかを紹介したい。
「人種差別について」
小田にとって人種差別、貧困は重要なテーマだった。アメリカに渡り、ヨーロッパからアジアを見てこようとした背景であったと思われる。小田を評論から実践に、ベ平連、脱走兵支援になったと思われる。
アメリカの東部で人種問題を黒人でもなく白人でもない『他人事として第三者として眺めている。高見の見物をしている。』 略 小田だったがミズリー州の片田舎で待合室「白人用」に出会い胸にわき上がってきたことは『正直に言おう、私は何かしらホッとしたのだ。ヤレヤレ、あそこ(黒人用)に入れられなくてよかったという見下げはてたヒキョウないやったらしい気持ちを、私は感じたのである。いや、ひょっとしたら、私はユカイであったかもしれない。私はすでに「彼ら」を「こちらの世界」の眼で、つまり「白人」の眼で眺める、見下ろすことを始めていたのだ。』
日本人が日本で人種差別を考える原点だと思う。
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