夏のこの時期といいますと、稲川さんも活躍するそういう時期ですね。
私自身お化けとかそういうのは、う~ん、ない事もないんですが、ありがたい事にそれほど怖い目にはあってませんので。
そうですね、お化けではありませんがちょっと怖い話でも。
ある男性の話です。
彼には最近付き合い始めた彼女がいました。
美人というよりはかわいい感じの彼女。
まあ、幸せにやってたみたいです。
彼の誕生日が近づいたある日、彼女の方から「誕生日をあなたの部屋でお祝いしたい」
と言われたそうです。
そりゃ悪い気はしません、じゃあそうしようという事で、彼の誕生日は彼の部屋で二人でお祝いしようという事になったそうです。
彼女はとても嬉しそうにしていたそうです、誕生日が楽しみだと。
その誕生日の日彼が会社に出勤すると、上司から急な出張を言われました。
新しいプロジェクトの立ち上げだとかそんなので、2~3日支社の方を手伝ってほしいと。
会社員ですからね~、そりゃ行かないわけにはいかない。
とりあえずいったん自分のアパートに帰って、用意して出張先に向かったそうです。
彼女の方には用意してる間に、携帯からメールを入れたそうです。
急な出張が入ったのでごめんと。
で、なんとか出張先での仕事をこなして、3日目には帰ってきたらしいです。
とりあえず本社よって、仕事の報告をして夜にはアパートに帰って来ました。
玄関を開けると、彼女の靴が置いてあったそうです。
彼の部屋でいっしょにお祝いをということでしたから、色々用意もあるだろうと、彼女に部屋の鍵は渡してありましたからね。
急な出張でしたので、彼の方からメールの後も何度か連絡したそうなんですが、どうしても彼女とは連絡がつかなかったそうです。
「ただいま電波の届かない所にいるか、電源が・・・・・・」
彼女はかなり楽しみにしてましたからね、彼も気にかけていたそうです、ああ、怒らしちゃったかな~って。
でも玄関を開けると彼女の靴がある、「ああ、機嫌直して待っててくれたのか」
そんなことを思いながら部屋に入ると。
真っ暗な部屋の中、もう傷んでしまっている料理を前にして、彼女がぽつーんと座っていたそうです。
彼はしばし声も出せずにそのままだったそうです。
すると彼女がゆっくりと、ゆっくりと目の前のケーキのろうそくに火をともしました。
ろうそくの明かりの中。
憔悴しきった彼女がゆっくりと彼の方を見て。
「・・・・・・・・・・おかえりなさい。
あなたのために作ったの、・・・・・さあ、・・・・・・・・・・食べて」
・・・・・・・・・・あなたが彼だったらどうします?