池波正太郎 著 「乳房」 文春文庫
普通小説は、話の縦軸とそれに関わる横軸があって、それが織りなして出来ているものかと思っていたが・・・。この小説は、縦軸が二本あって、それが平行線でなかなか交わらない?
一つは、自分を捨てた男を絞殺してしまったお松の話。運よく良い人たちに助けられて幸せになって行く。もう一つは長谷川平蔵が盗賊をとらえる話。微妙に係わって行くのだが、しっかり交わらない。どうなって行くのだと興味津々。結局交わったか交わらなかったか?
お松が幸せになれた理由は?
”お松には私心が無い。我欲もない"、"若いうちに我欲を捨て切ることができた、その報いは、すべて、お松に幸運をもたらしつつある・・・”と描かれている。
お松が幸せになれた理由はもう一つ、
”女は強い。女は男にないものをもっているゆえにな”とある。
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