ヒッグス粒子実験の所長ら=英科学誌「今年の10人」
時事通信 12月20日(木)3時4分配信
英科学誌ネイチャーは20日号で今年話題になった10人を特集し、万物に質量を与える「ヒッグス粒子」の探索実験が行われている欧州合同原子核研究所(CERN、スイス)のロルフ・ホイヤー所長らを選んだ。巨大加速器を使った国際実験には日本からも多くの研究者が参加し、7月にはヒッグス粒子とみられる新粒子が見つかったと発表された。
「ヒッグス粒子発見」の期待が高まり重圧となる中、実験リーダーらは慎重を期して発表を年末にしたい意向だった。しかし、ホイヤー所長が表現を工夫して成果の発表にこぎつけた手腕を同誌は評価した。
また、強毒性鳥インフルエンザウイルスがわずかな変異でヒトと同じ哺乳類に感染しやすくなることを実験で示したオランダ・エラスムス医療センターのロン・フーシェ博士も選ばれた。同博士や河岡義裕東京大教授らが論文を発表しようとしたところ、テロ組織などによる悪用を懸念する米当局に一時阻まれ、研究を自主停止する騒ぎになった。
血圧制御に重要なたんぱく=腎臓で発見、新薬期待―東大
時事通信 12月19日(水)4時24分配信
全身の血圧を制御する上で、腎臓で重要な役割を果たしているたんぱく質を発見したと、東京大大学院薬学系研究科の名黒功助教や一條秀憲教授らが19日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表した。このたんぱく質「ASK3」の働きを腎臓で高める薬剤が見つかれば、高血圧の治療薬になると期待される。
ASK3は、遺伝性の高血圧症患者で働きが異常に高いたんぱく質「WNK1」を抑える役割がある。WNK1は塩を構成するナトリウムや塩素のイオンを尿に出さずに取り込み、併せて体内の水分を増やして血圧を高める働きがある。
名黒助教らが、ASK3を作る遺伝子が働かないよう操作したマウスを生み出したところ、年を取るにつれて通常のマウスより血圧が上昇。さらに、餌に含まれる塩分を若干増やしたところ、通常のマウスでは血圧に影響しない程度の増加でも、ASK3がないマウスでは血圧が上昇することが分かった。
このため、健康な状態ではASK3が何らかの経路で細胞の状態を感知し、WNK1を抑える程度を調節、血圧を一定範囲に維持していると考えられるという。
ノロウイルス変異、感染性胃腸炎が大流行の恐れ
読売新聞 12月15日(土)16時45分配信
今冬はノロウイルスによる感染性胃腸炎が大流行する恐れがあると、国立感染症研究所が注意を呼びかけている。
ウイルスの遺伝子変異が原因で、全国3000か所の医療機関の報告では、11月26日~12月2日の患者数は1か所平均18人に急増した。最近10年間で、もっとも流行した2006年の22人に次ぐ勢いだ。
感染研によると、変異したウイルスは、今年1月に北海道と大阪で初めて検出された後、10月までに東京や新潟、沖縄など計9都道府県に広がったことが確認された。人体には一度感染したウイルスや細菌を記憶し、効果的に撃退する免疫があるが、変異したウイルスは、免疫による防御をかわして感染しやすい。
ノロウイルスはもともと感染力が強く、せっけんやアルコールによる消毒は効かない。体力のない幼児や高齢者がかかると、激しい下痢や嘔吐(おうと)で脱水症状を起こすことがある。感染研の片山和彦室長は「丁寧な手洗いでウイルスを流し取ることが大切。嘔吐物を処理する時は、塩素系漂白剤で消毒してほしい」と話している。
有機ELの新発光材料開発 レアメタル不要、コストも減
朝日新聞デジタル 12月13日(木)3時38分配信
【中村浩彦】スマートフォンのディスプレーなどに使われている有機ELの新しい発光材料を、九州大などの研究チームが開発した。従来の発光材料に必要だったレアメタルを使わず、材料コストを10分の1程度に減らせるという。13日発行の英科学誌ネイチャー電子版に発表する。
有機ELの発光材料には蛍光現象やリン光現象で発光する材料が使われてきた。蛍光材料は安価だが電子を光に変換する効率が低く、リン光材料は電子をほぼ100%の効率で光へと変換できるが、イリジウムなどのレアメタルが必要で材料コストが高かった。
九州大最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢センター長らは、レアメタルを使わずに高効率で発光する有機化合物、ジシアノベンゼン誘導体を開発。蛍光材料と同等の価格で、リン光材料と同様の発光効率を持つ素材という。「ハイパーフルオレッセンス」と名付けた。
有機ELは薄型なうえ、高精細で消費電力も少なく、次世代の薄型テレビや照明などへの利用が期待されている。安達センター長は「国内メーカーと連携し、日本発の技術として早急に実用化を目指す」と話している。
朝日新聞社
有機ELの新発光材料開発 レアメタル不要、コストも減
朝日新聞デジタル 12月13日(木)3時38分配信
【中村浩彦】スマートフォンのディスプレーなどに使われている有機ELの新しい発光材料を、九州大などの研究チームが開発した。従来の発光材料に必要だったレアメタルを使わず、材料コストを10分の1程度に減らせるという。13日発行の英科学誌ネイチャー電子版に発表する。
有機ELの発光材料には蛍光現象やリン光現象で発光する材料が使われてきた。蛍光材料は安価だが電子を光に変換する効率が低く、リン光材料は電子をほぼ100%の効率で光へと変換できるが、イリジウムなどのレアメタルが必要で材料コストが高かった。
九州大最先端有機光エレクトロニクス研究センターの安達千波矢センター長らは、レアメタルを使わずに高効率で発光する有機化合物、ジシアノベンゼン誘導体を開発。蛍光材料と同等の価格で、リン光材料と同様の発光効率を持つ素材という。「ハイパーフルオレッセンス」と名付けた。
有機ELは薄型なうえ、高精細で消費電力も少なく、次世代の薄型テレビや照明などへの利用が期待されている。安達センター長は「国内メーカーと連携し、日本発の技術として早急に実用化を目指す」と話している。
朝日新聞社