コーヒー・ブレイク

故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る

古典を愛す

2014-03-09 | 日記
温故知新。
ふるきをたずねてあたらしきを知る。

古い書物はいい。
色あせて茶色くなっていたりシミだらけになったような古い本。
開くとかびくさい匂いがしてきたりする。
ところどころに赤線が引いてあったり、へたな字で書き込みがしてあったりする。

先日、ふとしたことで昔読んだことのある「ヘンリー・ライクロフトの私記」という
本のことを思い出し、家じゅうさがしてみたが見つからなかった。
あきらめていたところしばらくして書店に飾ってあるこの本を見つけた。
うれしくなった私は手にとる間もなくレジへ持っていって支払いを済ませていた。
あまりのそっこーでわれながらおかしかった。

文庫本だがしゃれた装丁で、あきらかに最近発行されたものだ。
著者はジョージ・ギッシング。訳者は池 ひろあき氏

読みはじめると昔読んだ記憶がよみがえる。
どうしてこんな本が好きだったのだろうか、などと思い、感慨にふけりながら読んでしまう。

  「二つのことがあって、時折ロンドンが恋しくなる。輝きにに満ちて奥深い名手のバイオリ   ンや、完璧な技巧でたっぷりと余韻が尾をひく歌手の声楽が聞きたいのと、絵が見たいの   と、この二つだ。音楽と絵画は何をもってしても代えがたい心の支えだ」

黄色いマーカーを入れ、付箋をつけておいた箇所である。
昔はそんなものはなかったから、赤鉛筆で線を引いたところであったにちがいない。