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お久しぶり!

『子産』上・下巻  宮城谷昌光

2011-07-22 21:54:21 | 読書
途中面倒くさくなってしまって、
長らく放っておいたりもしたけど
下巻に入ったらあっという間に読み終わってしまった『子産』。

子産・・・って、
育児書みたいだけど
そんなものとは無関係の
中国の紀元前500年ころのお話。

当時は大国である楚と晋に板挟みになった弱小国“鄭”
そこの穆王の孫であり七穆とよばれる卿。

軍事に優れ、人柄も良かった子国の息子で
生まれながらにして優れた頭脳と
仁愛に満ちた名宰相。

親である子国と子の子産。
同時代に生きた斉の名宰相、晏子も思わせる。
親である晏弱と子の晏嬰。
晏嬰もこの物語には登場する。

孔子はこの子産よりも少し若いのだけど
孔子は子産の博識と人柄を尊敬し、
子産が亡くなった事を知った時には
この世から素晴らしい人が消えたと哭泣したそう。

その孔子が後日
優れた人は誰かと聞かれた時に答えたという内容が出ているが
それがとても印象的だ。

孔子曰く「鮑叔と子皮である。」
何故、管仲と子産ではないのか?と聞かれると、
「鮑叔は管仲を、子皮は子産を、執政者にし、自分は生涯その支持者となり補佐をした。
 でも、菅仲と子産は誰か優れた人を見出しただろうか。」
と答えたそうだ。

なるほど。

そういう理屈っぽい感じは大好きな部分だ。


上に立つ人はすべてに優れている必要はない。
それぞれの仕事に対し優れた人を見出し、
その仕事に打ち込ませればよいのだもの。
そのもっとも良い例は
漢帝国を築いた劉邦だと思う。
劉邦は“袋”に例えられるよね。

現日本の政治家にそんな人いるだろうか。
自分が目立つことばかり考えている。
そして子産は自家を守ることは二の次だとしているけど
日本の政治家は政党の将来と子どもが後継者になれること、
そんなことに夢中になっている気がする。

子産みたいな改革的政治家がいたら
・・・って思う。

宮城谷さんの本を読むと心がすっきりする。

あとがきに書いてらしたけど
この子産を連載しているとき
体を無理しすぎてしまって病気になってしまい大変だったそう。
無理はいけないって書かれている。

子産で吉川英治文学賞を受賞している。



中国の物語は名前がややこしいので
全部を把握しようと思うと挫折すると思う。
同じ人を色々な呼び方で呼ぶし
名前がとても似ているし
なにより、漢字が難しい。
そこを気にせず読み進めると
日本よりもずっと昔から
徳や礼、仁なんてことが考えられていたのかと思って興味深い。

もう10年以上も前に読んだ「晏子」を
もう一度読みたくなった。



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