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水曜どうでしょう 「迷走中」…最大の見所はエンディング?

「ミッドナイト・ララバイ」 サラ・パレツキー作

2012-02-02 20:02:09 | 読書
原題は「HARDBALL」硬球。

いつも思うんだけど
この甘ったるい邦題とちょっと昔っぽいコミックちっくなカバーの絵で
なんとなく完全に女子向けの本みたいになってしまう
VIウォーショースキーシリーズ。

たしかにフェミニストであるパレツキーの文章は
“女子向け”かもしれないけど
ミステリーファンをきちっとうならせるプロットなのだ。

ヴィクトリア・イフィゲネイア・ウォーショースキー。

親しい人は彼女をヴィクと呼び、
(彼女がヴィクと呼ぶのを許している、という感じか)
住んでいるアパートの階下に住むサルバトーレ・コントレーラス氏は
愛情をこめて“クッキーちゃん”と呼ぶ。
そして亡き父の同僚だったボビー・マロリー刑事はヴィッキーと呼ぶ。
ヴィクは嫌うけど。

でもたいていの人にはV・Iと呼ばせてて、
Iがイフィゲネイアだとは教えてない。

ポーランド移民の警官だった父と
オペラ歌手志望だったイタリア移民の母を持つが
すでに2人とも他界している。

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原題の「HARDBALL」の通り
亡き父の荷物にあった野球のボールが重要なカギとなる事件。

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ホームレスを助けたところから始まる。
ホームレスを助けたことをきっかけに
そんな親切な探偵ならきっと請け負ってくれるだろうと
40年前に行方不明になったラモントという青年の行方を突き止めてほしいという依頼を受ける。

シブシブながら、
ラモントを愛する彼の叔母が病に伏せ、長くは無いという事を知って
仕事を受けてしまうのだ。

ラモントが消えた陰に、
40年前の人種差別に端を発する暴動の中、
ハーモニーという女の子の殺人が絡んでいることに気づいたVI。

その時から何かを知るシスターが殺されたり、
VIの部屋が荒らされたり
殺されかけて大やけどを負ったり、
警察に追われたり・・・
といういつもながらの災難に遭いながら、
それでも事件の核心に近づいていくVI。

それはシカゴ警察が長い間隠ぺいしてきた
内部腐敗の事実と
アメリカ上院議員選挙に
複雑に絡み合うものだった。

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今作にはヴィクのだいぶ年下の従兄弟、ペトラが出てくる。

ヴィクの格好良さが霞んじゃう位の魅力をふりまきまくるんだけど
やっぱりヴィクがラストにはきっちり良いところを見せ付けてくれる。

これは面白い!
途中で一旦中断していたんだけど
(忙しい日々でぶつ切りで読むのがもったいなくて)
後半は一気に読んでしまった。

あちこちで上がるボヤみたいな小さな火が合わさって
ラストはいつもの大団円。

ファンを喝采させてくれる、さすがヴィク。

ラモントの叔母が死に際にヴィクに投げかける言葉が素晴らしい。


今作はモレルとの別れの報告から始まるけど
ラストには良かったね、っていう筋書きも良かった。


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