OECDが実施している国際学力テスト(PISA調査)
OECDが実施している子どもの国際学力テスト(PISA調査)に対して大人の国際学力テスト
ともいえる成人スキル調査(文科省の命名では国際成人力調査、略称はPIAAC調査)の最も基本的な平均得点の結果をグラフにした(PISA調査の結果は図録3940参照)。
この調査は、OECDが実施する成人スキル調査としては今回が初めての実施となった。24か国・地域において、約15万7千人を対象に実施しているので、1国当たり平均では7,800人程度が対象。毎日新聞(2013.10.9)によると「日本の調査は2011年8月~12年2月に実施。16~65歳の男女1万1000人を住民基本台帳から無作為に選び、そのうち5173人から回答を得た。」
テストは、読解力と数的思考力とIT活用力の3点にわたっていたが、ここでは、最も基本的な「読み書きそろばん」、すなわち、読解力(リテラシー)と数的思考力(ニューメラシー)の結果を掲げた。調査の分野と内容については以下の表を参照されたい。
調査の分野と内容
読解力
(Literacy) 文章を理解して評価利用する能力 ○ホテルなどにある電話のかけ方の説明を読んで、指定された相手に電話をする。
○図書館の蔵書検索システムを使って、指定された条件に合う本を選ぶ。
数的思考力
(Numeracy) 数学的な情報を捉え理容・伝達する能力 ○食品の成分表示を見て、その食品の一日の許容摂取量を答える。
○商品の生産量に関する表を見て、グラフを作成する。
IT活用力
(Problem solving in technology-rich environments) デジタル技術やネットワークの活用力 ○指定された条件を満たす商品をインターネットで購入する。
○表計算ソフトで作成された名簿を用いて、条件を満たす人のリストを作成した上で、そのリストをメールで送信する。 (資料)毎日新聞(2013.10.9)、文科省「OECD国際成人力調査 調査結果の概要」
結果は、日本人が世界一の能力をもつことを示す得点であった。多分、控え目で謙虚な日本人は、プラス面よりマイナス面の報道が習性となっているマスコミの影響もあって、余り得意になったり、騒いだりしないであろうが、日本人が大いに自信を深めるに足る結果だったといえよう。
報道(2013年10月9日)では、日本がトップの理由として、文科省の推測や分析が多く引用されている。「義務教育などの成果に加え、企業の人材育成や個人の生涯学習の積み重ねの結果だろう」(東京新聞)、「日本人は新聞や雑誌を読む人が多いことや、買い物の時もレジでおつりを考えて支払う人が多いことなどが影響している」(毎日新聞)
設問を新聞(毎日新聞2013.10.9)で読んだ私の個人的な印象では、個々人の能力の高さもさることながら、日本語の場合、ローマ字のみの表記の言語と異なって、漢字、カナ(ひらがな、カタカナ)、ローマ字が交じった文章なので、内容を読み取る苦労がそれほど要らず、意味が一目で即座に分かってしまうという表記上の優位性があるのではないかと感じた。
また、江戸時代の寺子屋の普及にまで理由を求める見解も今後提出されるであろう。
日本以外では米国の14.1%など移民(外国生まれ)が占める割合が高い。自国生まれと移民では平均して30点ぐらいの差が出ているので(OECD Skills Outlook 2013 Table A3.14 (L))、移民がほとんどいない日本ではそれだけ得点が高くなっているという側面もある。
各国の結果をざっと概観すると、フィンランドが日本に次いで両方とも第2位となっており、また上位に、オランダ、ベルギー、スウェーデン、ノルウェーなど北欧や西欧北部の国々が多い点が目立っている。
逆に下位の方には、フランス、スペイン、イタリアといったラテン系諸国が陣取っている点が目立っている。米国もどちらかというと低い方に属すると言える。
これまで作成した図録では、読書や蔵書数で、暖かい南欧が低く、寒い北欧が高いという一般傾向があった(図録3956a)。テストが書き言葉によっている限り、頭のよさというより、書き言葉にどれだけ親しんでいるかが、結果に影響を及ぼしているだろう。
この調査の結果は、他にも、若者と中高年の格差が日本は小さい(一方、韓国は極端に大きく、若者だけだと日本とそれほどの差がない)点、また、学歴による階層間格差が日本は小さい、男女格差は大きい、といった興味深い点がいろいろある。
本屋の品揃えの豊富さが、この結果を予測していたよう。生涯学習の効用を実感。
朝鮮人の評価はカンニングの結果みたいです。
