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![](http://img854.imageshack.us/img854/2221/ui3v.jpg)
アジアステップマンモス(松花江マンモス) Asiatic Steppe mammoth
(EoFauna のフェイスブックにて、世界的な化石長鼻類の専門家であるDick Mol 博士 に承認をいただいた復元図です。 )
ゾウの仲間、「長鼻類」は、新生代の開闢以来、陸獣の中で最大の体格を誇るグループとして、君臨し続けてきた。
長鼻類の中でも最大種を論じる際、諸説あるものの、その筆頭候補には中期・更新世の巨大ゾウ、ステップマンモス(Mammuthus
trogontherii)の名前が挙がるのが常だろう。
これまでにユーラシア全域で骨格が出ており、全身骨格も知られているが、大柄な雄で肩高4.5mにも達し、特大級個体ともなれば、体重
20トン前後になった(P. Christiensen, 2006)と考える研究者もいるほど。
数年前に、この最大ゾウの座を脅かす存在として、肩高4.9m(管理人の目測による)という巨大な複製骨格の存在と併せて古生物愛好
家の耳目を集めたのが、松花江マンモスである。
内蒙古で発掘された不完全な骨格に独自性を認め、1959年にM.Z. Zouが固有種名を与えたのが始まりだが、Zhalainuoer
specimen と通称される全身骨格や、別の2体分の骨格を組み合わせた巨大標本(上述)の存在もあり、the Songhua River
mammoth (Mammuthus sungari) といえば、国際的にも低くはない知名度を得ている。
独立種の妥当性については、Zouが記載した当初から疑義申し立てがあった模様であるが、うやむやにされてきた感は否めない。2010
年、Wei et al.が内蒙古博物館の骨格標本を皮切りに、複数体分の骨格を調査する機会を得て、論文("Mammuthus trogontherii,
with discussion on the origin and evolutionary patterns of mammoths")にてまとめているが、仔細を省いて述べると、従来
説を覆し、ステップマンモスに同定する結果となっている。http://en.wikipedia.org/wiki/Mammuthus_sungari
同論文で、ウーリーマンモス(ステップマンモスの後続種で、体格は一回り以上、小さくなっている)に近似する形質が色濃い骨格の存在が
報告されていることも、注意に値しよう。
「松花江マンモス」は、ステップマンモスとしても平均以上のサイズを維持していたと考えられるのに、いわばウーリーマンモスに移行して
いく、過渡期に入りかけた段階として、理解すべきなのだろうか?
A. Lister(2007)によれば、長くヨーロッパ固有種と考えられてきたステップマンモスの起源は、実のところ北アジアにあり、その後南下、
および西方にも進出し、汎ユーラシア的なマンモス種へと移行していった経緯がある。
そればかりではない。100万年前~70万年前に日本列島に分布していたMammuthus protomammonteus も、歯の形態の著しい
類似を以って、ステップマンモスとの関連が縷々指摘されてきた。
ステップマンモスは、あるいは少なくともその傍系が、我が国にも分布していた可能性が高いということだ。そうだとすると、蛇足になる
が、M. protomammonteus にみられる小型化は、「古代ゾウのドワ―フィズム現象」の、有意な四番目の例になるとも考えられる
が、これはあくまで自説である。
上の復元図は、EoFauna のA. Larramendi(2012)が原物骨格の調査を通して作成した、Zhalainuoer Ⅲ specimen(唯一の全
身骨格) の骨格モデルを基に描かれている。プロポーション的に頭部が非常に小さいこと、前脚の遠位部(特に檮骨)が顕著に伸長してい
る点などに特徴がみられる。象牙は-例えばウーリーマンモスや、北米のコロンビアマンモスに比べて-湾曲の度合いが小さく、ごくシン
プルであるが、これはヨーロッパ産を含む多くのステップマンモスが共有する形状であるとも言え、北アジア産のものに際立った偏差が認
められるわけではない。
ちなみに自分の考えを言うと、「松花江マンモス」の名称は、北アジア産ステップマンモスの亜種名として継続するのに、何の支障もないだ
ろうと思う。
絵、文責、ⓒサーベル・パンサー(Jagroar)
Morphological supervision by Asier/EoFauna
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