Prehistoric Safari : Super Crocodilians' heaven Part2
南米大陸北部 パンアマゾニア
およそ1300万年前…
(超大判オリジナルサイズ画像(高画質)) All images by ©the Saber Panther(All rights reserved)
イラスト&テキスト Illustration and text by ©the Saber Panther (All rights reserved)
太古より陸棲のワニの仲間にはあまたのグループ、膨大な数の種類が派生し大いに栄えていましたが、最大級の種類は新生代に入ってから、鮮新世の頃まで大型爬虫類の坩堝であった南米大陸北部にて出現しています。それが本種 Barinasuchus arveloi。
僅かに吻部や下顎の一部などが見つかっているだけですが(よって、Postcranialの復元は近縁種のストラティオスクス属などの骨格に依る他はありません)、それらを基に推定された頭骨長は大型獣脚類にも匹敵し、950~1100mmに達したといいます(Molnar et al., 2016)。
バリナスクス属の系統であるSebecosuchiaの多数の種類は共通して全長に占める頭骨長の割合が大きいため、全長はおよそ6.3mという見積もり(Molnar et al., 2016に依る。以前には全長9m前後などという主張もあった)ですが、推定体重は1.6~1.7トン以上になります。まさしく陸棲の鰐形類(terrestrial crocodylomorph)の中で最大種であったのみならず、恐らくは新生代最大級の陸棲肉食動物の座にあった存在でしょう。
藪の中からの奇襲を間一髪免れたゼナストラポテリウム属種が、比較してかなり小柄であるように錯覚されると思いますが、ゼナストラポテリウム属は南米固有のアストラポテリウム科の中でも大きい方であって、現生のクロサイほどのサイズです。
アストラポテリウム科のいずれの種類も「長鼻類とサイ、カバを折衷したごとく」とも言われる特異な形質に特徴づけられ、体も大柄で頑丈ですが、バリナスクスの側方圧縮されたような吻部と裂肉に適した歯(裂肉に際して、「デスロール」の必要がなかったとされます)、驚異の顎力で食いつかれては、ひとたまりもなかったことでしょう。
遠景に見えるガヴィアルに似た大型のワニは、クロコダイル科の古代種、キャラクトスクス属種。言うまでもなく、この時代のパンアマゾニアは大型爬虫類の多様性に特徴づけられ、他にも怪物プルスサウルス属種やグリポスクス亜科の複数種、巨大淡水カメなどがひしめいていたわけで、南米哺乳類の多様性が抑えられていたとしても、何ら不思議ではありません。
Species
from front to back:
バリナスクス属最大種 Barinasuchus arveloi
ゼナストラポテリウム属種 Xenastrapotherium sp.
キャラクトスクス属種 Charactosuchus fieldsi
『超級ワニの隆盛 Part 2』
イラスト&テキスト: ©the Saber Panther (All rights reserved)
相変わらずいいですね(^^)v(^^)v(^^)v
もっといかますか!
楽しみにお待ち申し上げております(*^▽^)/★*☆♪
いところです。
本作に関しては、新たに加筆したヴァージョンを貼り直し、キャプションも付けました。
ポジティヴに応援してくれる人がいると、やる気も湧きあがってきます^^
南米はいつの時代でも、特徴的な動物が多くて面白いですね。
に至るまで存続していたというのは、驚くべきことではないでしょうか。バリナスクス属最大種
の形態分析にあたったMolnar et al.(2016)は、本種について´theropod dinosaur
vicar´という面白い表現を使っています。
Molnar et al. は論文で、南米の食物連鎖の推移・転換に言及し、新生代の大半を通じて草
食の哺乳動物は多様であった半面、連鎖の上位たる大型肉食動物の座は、中生代以降も多
様な主竜類によって占められていたという、特異性を指摘しています。
もっとも、バリナスクス最大種のサイズは既知のSebecosuchiaの他種(大半が体重100kg
程度)と比較して正に例外的だったわけですが、上述の研究者は南米(北部パンアマゾニアと
南部のパタゴニアが大規模な陸棲ワニの産地です)の新生代地層からは今後も、同等の大型
種の発見が続くのではないか、と推測しています。
バリナスクス・ゼナストラポテリウム両者とも一見悠長に歩いているように見えてしまったのですが、実際は必死で追いかけっこをしているんですよね。
一メートル級の大頭からの噛み付きって……当時の植物食哺乳類にこれをまともに食らって助かる者はいなかったでしょうね。
大型爬虫類と言えば、大蛇もアナコンダ級かそれ以上のサイズの代物が反映していたのでしょうか。
んー、そうですか…。アストラポテリウム科の動物は四肢構造が長鼻類に似ているため、あま
り過度に躍動感のある走行描写も不可であろう、と思いましてね。その分、長い頸をさらに懸
命に伸ばす様子で、必死さが伝わるようにしています。
確かに、バリナスクス最大種の襲撃をまともに喰らっては、コンテンポラリーのほとんどの草食
獣は太刀打ちできなかったと思いますね。もし例外があったとすれば、アストラポテリウム科の
最大種、インドゾウ大とされるグラナストラポテリウムsnorki やアストラポテリウム
giganteumなど、いずれにせよ多くはなかったでしょう。
この時代の南米産の大蛇については、残念ながら詳しくありません。ティタノボアとかギガント
フィス級ではなくとも、大型種の豊富であったことが想われるのに、不思議とそれらしい種類の
報告がないようです。