佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

乳腺カンファレンスご案内

2008年06月23日 22時00分06秒 | 乳腺カンファレンス
今度の木曜日、18時から病理カンファ室で、乳腺カンファレンスを行います。毎月やっていますが、案内も報告もなかなかですみません。

症例は2つ。皮膚浸潤を伴うbulkyな病変。皮膚浸潤、皮下のリンパ浮腫などが非常に強い症例ですが、画像で浮腫状に見えている所見のうちどんなものがリンパ管浸潤を見ているのかを病理的に検討していただこうと思っています。

もう一つは典型的なcomedo壊死を伴う浸潤癌。乳管内病変、皮膚浸潤、娘結節など多彩な所見があり、若い先生にはいいteaching caseと思って選びました。

皆さん、参加をよろしくお願いします。 Ryoko

第3回乳腺カンファレンスのお知らせ

2008年02月14日 23時13分40秒 | 乳腺カンファレンス
来週木曜日、2/21夕方(時間は後日掲載)、第3回の乳腺カンファレンスを開催します。今回は、佐賀県乳癌検診部会の指定講習会?にも使われるとのことで、学外の先生も含めたOpenな会になります。

典型的で診断に迷うことはない乳癌症例1例に加え、非浸潤性乳管癌(DCIS)と非浸潤性小葉癌(LCIS)の2例を呈示予定です。まだ3回目で、ようやく落ち着いてきたかな、というカンファレンスではありますが、ご興味のある先生方は是非参加&コメントをお願いします。

ちなみに・・・週末、私とyamaken先生、King先生は東京で行われる乳癌画像研究会に行ってきます。私は発表もあって最近までスライド作りでバタバタ。カンファの準備はこれからです・・・

2008年1月乳腺カンファレンス

2008年01月18日 14時38分05秒 | 乳腺カンファレンス
 昨日は午後6時から2008年第一回目の乳腺カンファレンスでした。
 術前診断困難例の症例検討が行われました。今回はRyoko先生ではなく、卒後4年目の放射線科医が記事を書かせていただきます。カンファレンスで勉強になったことが伝わればよいのですが(mune)・・・書きにくかったようなので、追加記載します(Ryoko)。

 2例の症例検討を行いました。今回は術前の画像診断で非浸潤性乳管癌(以下DCIS)を疑った症例で、結果として本当にDCISだったものと、実際は良性病変であったものを比較しつつ検討する企画でした。
 1例目:マンモグラフィーでは局所的非対称陰影のみ。超音波では、縦横比の低い不整形のやや不均一な輝度を呈する低エコー病変(ドップラーにて、辺縁または内部に血流信号あり)が区域性に広がっていて、DCIS疑い。MRIでは、上記病変にほぼ一致する区域性の漸増性濃染で、内部に網目状の増強効果が見られ、DCIS~微小浸潤癌疑い。拡散強調画像/ADCmapでも軽度の異常信号あり。病理学的にはほぼ全体がDCISで、微小浸潤の可能性はあるがあってもごく軽度。
 2例目:マンモグラフィーで局所的非対称陰影と構築の乱れを伴った症例で、同部に一致した低エコー病変があり、こちらも区域性分布。DCISの可能性が疑われた症例。超音波では1例目よりもやや腫瘤様に見える低エコー病変が同一区域に複数あり、MRIでも網目状構造を伴う異常濃染あり。増強効果は1例目に比しとても弱かったのですが、悪性度が低いDCISを疑い、局所切除を施行。病理では病変と思われる部位をふくめ、標本内にはさまざまな病理像(乳頭腫、過形成、アポクリン化性、線維化などのいわゆる乳腺症)がみられました。結果として悪性ではなかったのですが、併存する複数の病理学的異常が画像上、DCIS様の病変を構成していたことがわかり、非常に難しい症例でした。
 それぞれのモダリティ単独では、この多彩な病理像を術前に診断することは難しいと思われましたが、マクロからミクロの病理像をみせていただき、画像(特に超音波とMRI)の理解への手がかりを感じることができました。
 病理標本と、画像でみられた病変部位の対比が難しいという問題がありましたが、現在は乳腺外科医が切り出しへ参加しているとのことでした。放射線科の作成するマッピング画像も、病理へ有用では?という提案もありました。
 

 外科のK先生も仰っていましたが、現在の乳腺診療は、非常に高い質を求められており、外科・病理・画像の密な連絡のもとで、お互いにフィードバックしながら診療の質を高めていかなければならないと思いました。

乳腺カンファレンス~拡がり診断~

2007年12月06日 23時28分33秒 | 乳腺カンファレンス
今日は乳腺カンファレンスでした。夕方6時から、乳腺外科・放射線科・病理が集まって、術前診断と病理との対比を行うカンファレンスです
乳癌の画像診断はマンモグラフィーと超音波が基本ですが、術前にはMRIでの拡がり診断も重要になります。病変の範囲は症例によって、超音波でわかりやすい場合、MRIでわかりやすい場合など様々で、複数の検査を参考にして最終的には総合的に判断をする必要があります。
 今日の症例は、壊死型の多形性~不均一な石灰化が区域性に分布していた非浸潤性乳管癌、娘結節を伴った浸潤性乳管癌(乳頭腺管癌&充実腺管癌のmix)の2例でしたが、いずれも背景に強い乳腺症様変化があり、術前に範囲診断が困難であった症例です。病理の先生のコメントを聞くと、乳腺症様変化の中に癌が混在し散らばったような状態で、病理の先生にとっても非常に難しい(ストレスいっぱいの!)症例であったようです。私も画像で診断する際、ものすごく悩んだ症例でしたが、病理でこんなにわからないんじゃ、画像じゃわかんないはずだ・・・と妙に納得。でも、術前に放射線科が診断した拡がりを模式図で書いてマッピングしておけば、病理の先生にとっても診断の手がかりになっていいかな?と思いました。
 今回、非常に問題になったのは摘出標本提出の際に標本の向きや左右の位置関係などがわかりにくくなっていて、病変のあった部分が、実際の体のどこにあるのかが病理側にうまく伝わっていないというところでした。臨床サイドとのコミュニケーションが大事だなぁと痛感しました。