マンション管理士綾さんのブログ

マンション管理士は「正義の味方・月光仮面」?

組合員名簿、居住者名簿はマンション管理に不可欠なもの

2014-02-21 00:19:01 | インポート

●あるマンションの南側にマンションが建つとして、
業者による説明会が開かれた。業者は法と条例に基づく
説明会を開催したとして官庁に報告するために出席者の
名簿が欲しいと、出席者に参加者受付簿として氏名、
住所、連絡先の記載をお願いしたが、「そんなもの書か
せるな、個人情報をどう考えているんだ」との発言を皮
切りに、2時間ほどの説明会の日程の中で、最初の30
分が名簿への記載(個人情報の取り扱い)をめぐっての
やり取りとなり、説明会の冒頭から対立的雰囲気が醸成
され、業者が「それほどおっしゃるなら結構です。肝心
の建設計画の説明時間がなくなることが心配だから」と
引き取った事例がありました。

●ある町会で、会員名簿を作る方針が役員会で承認さ
れず、平成16年版を最後に、新名簿を作成できず、古
い名簿に転入出者をわかる範囲で書き込んで、会費管理
をやっているところがあります。また、初めての訪問先
で近くまで来ているが、目的のお宅がわからず、郵便配
達人と遭遇。住所を示して所在を尋ねると、「個人情報
で教えることが出来ません」と断わられた事例もあり、
昔は郵便配達人や米屋、酒屋に聞いたものだが、人情味
が無いと寂しくなった話もあります。

●また、ある市内で同じ大手開発業者が建てた7つの
マンション管理組合の交流会の席で、全てのマンション
が築年数30年を超えた共通の悩みとして、2つの高齢
化問題、役員のなり手不足の問題が出され、ある組合か
らは、「区分所有者(居住者)名簿が不完全でどんなス
キルをお持ちの方が組合にいるのかが解らない、居住者
名簿の更新をお願いしても、何かと文句を言う人ほど個
人情報が何とか言って、なかなか協力が得られない」と
の悩みが話されました。


これらは個人情報保護法の誤った理解と過剰反応の成
せる技です。

ご存知の通り、個人情報保護法では「一定の限度を超
える(過去6ヶ月で1日でも5000人超)個人情報取
り扱い事業者」に対して、その取り扱いを慎重・厳格にす
ることを求めているもので、取り扱い事業者を規制する
ことが主眼であり、個人のプライバシーを直接保護する
目的の法律でもありません。

取り扱い情報量から見ても管理組合が取り扱い事業者
に該当することはほとんど無く、管理組合が同法による
規制を迫られることは無いのが実情ですが、同法第3条
では、「個人情報は、個人の人格尊重の理念の下に慎重
に取り扱われるべきものであることに鑑み、その適正な
取り扱いが図られなければならない」と基本理念を定め、
個人情報の慎重な取り扱いを求めています。


一方、管理組合法人には、法人に求められる財産目録
の作成と区分所有者名簿の整備は法律上の義務とされて
(法第48条の2)おり、「名簿に変更があるごとに必
要な変更をくわえなければならない」と管理組合に名簿
整理を義務付けていますし、法人成りしていない管理組
合も、権利能力無き社団として、法人に求められる事項
の実現をめざして努力する方向性が求められます。

何よりも現実のマンション管理と組合運営の必要性か
ら名簿整備をより完璧なものにする必要性は論を待ちま
せん。管理組合としては、面倒がらずに、区分所有者の
理解を促し、協力を得て名簿整理をより完全なものにす
ることが求められているのです。

区分所有者の理解を得るには、個人情報の取り扱い方
針(プライバシーポリッシー)を作成・公表し、名簿の
管理や情報の活用の制限など、組合員の理解を得る為の
合意つくりの努力が必要です。

東京都が「町内会等で、個人情報保護法の誤解等に起
因して、必要とされる個人情報の提供が控えられるなど
の反応がある」状況を踏まえて25年10月18日に制
度説明会を行いました。東京都作成のパンフ「地域のく
らしと個人情報」には、町会・自治会等におけるプライ
バシーポリシーの記載例があり、自分たちのマンション
にあったものを作るためのわかりやすい資料となってい
ます。

また、「集合住宅管理新聞、アメニテイ第37411
5日付け」が、「個人情報への過剰反応と勘違い(保護
法を理解して、組合員・居住者名簿を整え、管理の質を
高めよう)」と題して時期を得た記事を掲載、あわせて
関連業界ニュースとして、東京都の説明会の内容を報じ
ていますが、同記事中の「(別表)プライバシーポリシ
ーの留意点」も多いに参考になると思われます。


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