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★光州の身体障害者(聾唖)学校での性暴力事件を扱った映画が、今話題を通り越して社会変革の台風の目になろうとしている。最貧層、人間弱者に向けられた暴力、狂気を、観客も己の境遇とダブらせたのであろう。おりしも米軍の少女に対する性暴力現行犯を、警察が不起訴にして所属部隊に返した事件も起き、併せて世論の関心を集めている。N
映画‘ルツボ’…世の中を変える‘映画の力’
映画<ルツボ>(写真)のはじめは微弱だった。 人気作家コン・ジヨン氏のベストセラーが原作、製作費数十億ウォンの商業映画とは違う次元であった。
内容は暗いし、スター俳優や監督もいなかった。 投資・配給会社内部でも、反対が少なくなかった。その上、興行に不利な‘青少年観覧不可’…。
興行展望は明るくなかった。
しかしマスコミ試写会直後から
‘よく出来た映画’という噂が広がった。 ツイッターなどソーシャルネットワークサービスで映画を先に見た人らの好評が相次いだ。 封切り前前売り占有率1位、22日封切り後週末ボックスオフィス1位を占めた。
封切り5日で100万人の観客を集めた。
観客の反応は熱かった。 地方のある障害者学校で起きた性暴行事件を取材した小説を映画化した。
映画を見た観客は‘怒りのルツボ’に陥った。 性暴行事件が核心だったが、警察の腐敗、公務員の無事安逸、宗教集団の狂気、法の無能などが同時に描かれている映画であったのだ。
ファン・ドンヒョク監督は“社会を告発するという心情で作ったということよりは‘こうしたことが実際に起きた’ことを見せてあげたかった”と話した。
しかし、現実を直視した観客は怒り、市民は行動し始めた。
28日午後8時現在、5万人余りがインターネット ポータル ダウム、アゴラで光州イナ学校性暴行事件再調査を要求、8万人余りが児童対象性暴行犯罪の控訴時効を廃止しろと請願運動に参加した。
与野党を問わず政治家たちも相次いで論評、関連法を作るという。 警察も再捜査を始めた。 教育科学技術部、保健福祉部も実態を点検すると。
映画はたびたび社会世論を喚起させた。
しかし大部分関心は長引かなかった。
真犯人を捉えた映画、法を作った映画はなかった。 映画評論家カン・ユジョン氏は
“映画は世の中に対するサイレンのようなもの、サイレンが鳴り止めば沈静化する”と話した。
しかし、<ルツボ>は違う。
事件が浮上し6年間、少しも動かなかった官僚と政治家たちが、映画封切り1週間であたふたと動き出した。
釜山国際映画祭チョン・チャンイル プログラマーは
“<ルツボ>の興行は韓国観客が、どの国より目覚めているという点を立証した”
“娯楽として終わるのではなく、いつでも公論の場に連結されることができるということが、映画の魅力”と話した。
<ルツボ>が世の中をどれくらい変えて行くのか注目される。