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全国の大学に広がる“アンニョン(安寧)ハシンミカ?”の問いかけ

2013年12月17日 | 南域内情勢

高麗大学の壁新聞(2013.12.10)


去る12月10日、高麗(コリョ)大学経営学科に在籍するチュ・ヒョヌ氏(27才)は、“皆さん、安寧(元気・平気:訳注)ですか?”という題名で始まる壁新聞一枚を学内に掲示した。チュ氏は本文で“一日のストライキで数千人の労働者が働き口を失った。鉄道民営化に反対しただけで、4213人が職位解除の処分を受けたのだ。朴槿恵大統領が自ら、国民の合意なしでは推進しないと約束した民営化なのに、それを反対したという理由で懲戒だなんて...労働法から「ストライキ権」がなくなるかも知れない”と嘆いた。

続けて彼は、国家機関の大統領選挙介入問題も指摘している。“不正選挙の疑惑は膨らむばかりだ。国家機関の選挙介入という未曾有の事態を前にして、大統領の弾劾訴追権を持つ国会の議員が、「辞退せよ」と言っただけで除名の圧力を受ける。今が果たして21世紀なのかわからなくなった”と皮肉った。

更にチュ氏は“「月収88万ウォン世代」の私たちは、IMF事態(1997年の通貨危機。IMFの管理下で大量解雇を断行:訳注)以後に両親が共働きで鍵っ子になることを、センター試験の度に少なからぬ学生が自殺する現実に沈黙することを、何事にも無関心になることを強要されてきた。私はただ、皆さんに尋ねたい。このままで安寧なんですか?別に不都合なくお住まいなんですか?他人事だと、見て見ぬふりをして平気なんですか?”と問いかけている。

二日後、壁新聞に共感する大字報が40余枚、同じ掲示板につけ加えられた。瞬く間に、反響は各大学に広がっている。延世大、成均館大、中央大、仁川大、釜山大...。

“安寧ですか?”と問いかける壁新聞に、すべての大字報は“安寧ではおれません!”と答えている。こうした熱気は、学生たちが政治・社会的な諸懸案を自らの問題と認識しており、抑圧される社会的弱者に対し強い連帯感を抱いていることを示すものだ。“安寧ではおれない”300余名の大学生が、鉄道労働者のストに参加したという。

そして16日午前7時半、大田市にある女子高校の1年生、イ・ミンジさんが校舎に壁新聞「いいえ、私は安寧ではありません!」を掲載した。彼女の聲を聞いて欲しい。

“高校生なので大学生の問いかけには答えられないだろう、と考えていた自分が恥ずかしくなりました。市民が不当に抑圧される現実に対し「安寧ではおれない」と言えなければ、社会に出てからも市民の権利を要求する資格はない、と思ったのです。残念ながら私は今、安寧ではありません。
 
病気の祖父母がお金がなくて病院にも行けないと思うと、安寧ではおれません。中学生の従弟が「慰安婦は強制ではない、自分の意志で日本軍に従って行ったんだ」と教えられるかと思うと、安寧ではおれません。毎週土曜日に市庁前広場で数万人がローソクデモををするのにテレビは報道しないので、安寧ではありません。数えきれない方たちの血で築いた民主主義がこんなにあっけなく崩れていくのを見ると、心が張り裂けそうで安寧ではありません。
 
私たちがみんな、「行動する良心」になることを願います。皆さんは、2013年に韓国民として安寧ですか?またもや弱者に刃を振るおうとする朴槿恵政府を前にして、皆さんは安寧なんですか?”