吉田修一の歌舞伎を題材とした作品。
ハードカバーが出版されたときにサボさんと「買うか否か」を
書店でかなり悩んだ末に「文庫が出るまで待とう」と結論して、
あれから一体何年経過したのだろう。ようやく買って先にサボさんが読了し
「これ読んだら絶対に歌舞伎が見たくなる!」と大絶賛して数か月後。
本当は別の本を読むつもりだったのに「イヤこっちだ」と推しがすごくて
読んでみたらあっという間だったこの2冊。おそらく1週間程度で2冊とも読んだかも。
波乱万丈な女形の人生に圧倒される作品だったのは間違いないが、
個人的には盤上の向日葵の方が好きだったかな~。
でも、読んだら歌舞伎を知りたくなるというのは間違いない。
歌舞伎を見に行ったこともないし、役者とか○○屋とかの屋号も詳しくないけど
こういう日本の文化を知りたいと思うのは年をとったからなのかなあ?
文章の語り口調もよかったけど、登場人物のキャラの立ち具合もよかったし
「悪人」とか「怒り」とか私はあまり好きではなかったけど「路」とか
結構前だけど「パレード」なんかもよく、全体的に作品にムラがないと思う。
薬丸岳も真保裕一もいいときはよかったけど、途中から面白さが薄くなったな、
と思っていたので、どんな作家も書き続けていると注目されて数作はいいものが多いけど
旬を過ぎるとなんかイマイチになって離れちゃうんだよね、ということが多い。
そう考えると吉田修一はある一定の鮮度を保ちながら続いているなあ、と思う。
まあ私が言うのも偉そうなんだけどさ。
ということで、安定の吉田修一作品をまた堪能できるおすすめ本。
しかもなんとなくめでたい感じがするのでお正月休みに一気読みしたいところ。
かくいう私は夏に読んだけど(爆)