8thアルバム:SECRETの3曲目に位置し、大貫妙子作曲の前曲から説得力のある楽曲を踏襲し出来上がっている。
この曲も実にアイドル楽曲というより、アーチスト的な歩み寄りな石川秀美作品となっている。
それもそのはず、今曲のロックミュージシャン:パンタ=中村治雄の作詞作曲によるところだからだろう。
勝手なイメージではそんなにアイドル歌手に提供曲って珍しいかと思ったら、意外と色々な人に曲を書いていた。
アレンジは実にシンプルな作りでリズムパターンがライブ受けするようなコードである。
秋から冬にかけての哀愁的なハーモニカ音のメロディも秀逸である。
アイドル楽曲というよりも、ブルースロックな楽曲である。
♪OH
♪WOWOWOWO
の歌詞など、男性ロック歌手ならではの発想である。
しかし、本当にアレンジに隙がない!
ややコーラスが意味不明なのだが、すっかり大人な歌曲となっており、
それをしみじみと歌う石川秀美のボーカルの安定さ。いくらかまだ可愛らしい歌声はあるものの、
アルバムのジャケット写真のように大人作品となるべく意識された感じが伺える。
もうそれは、イントロから始まっており、哀愁的で叙情的なハーモニカの多様な旋律と、
石川秀美のボーカルとの二重奏と言ってもいい。
12thシングル:ミステリーウーマンを含むアルバムの世界観を感じる。
この曲においても、物理的に壊れたものが現実なだけであって、そこに感じる哀しい自分の感情は言っても仕方がない。
と言ったようなもので、これは恋愛だけでなく、人生観としても捉える事ができる。
人生は良い事ばかりではないし、なかなか思ったようには現実ならない事が多いのは皆さんも承知の事だろう。
非情ながらも人生はそういうもの、というところで[RULE]という曲タイトルはよく言ったもんだと感心する。
歌の世界もVerse1、2と続き、最後のサビが繰り返しではなく、完結した物語となっている点も由。
グッときますね。
そういう処世術的なあたりの歌詞世界観がロック/ニューミュージックへの歩み寄りの石川秀美であり、
夏にリリースした11thシングル:熱風から、よりスケールアップしようと石川秀美の音楽性が羽ばたき始めた時期である。
後期のロッカバラード調やミディアムテンポの曲も歌いこなせる石川秀美の第2期の礎となり、見事にその方向性を自分の得意とする技にも昇華したのも事実。
そのようなこの先の音楽性の合致感を思うと、この曲の説得力ある作品にうなずく事ができる。
また、1984年10月10日から行われたコンサートツアーにて、映像化されたコンサート:BURN UP HIDEMI~秀美の熱い一日~で歌われた
♪冷たい雨~FARWELL CALL
のプログラムに相応しい楽曲である。
コンサートパンフレットによれば、♪バスルームより愛をこめて
も歌われたようだが、この曲もそこのプログラムに入れて欲しいものである。
ちょっと虚ろな憂いのある世界観が、渋みを増した歌手としての幅を広げた石川秀美がいて、
そういう石川秀美の音楽性と負けないボーカル力が個人的に大変好ましい。
歌の根底にあるスポーツウーマン=石川秀美の爽やかでエネルギッシュなソウルがあるからこそ、
石川秀美自身の歌へのチャレンジ精神が聴く側を奮起させる。それを表現し、作品化したようなこの曲である。
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