哀愁をおびたユーロビート調のメロディから始まるシリアスなナンバー。
ズシズシなっているEギターがよりドラマティックである。
すっかり都会的な大人の女性像をイメージした石川秀美であり、この頃のブラウン管で歌う石川秀美の姿も、妖艶でありスタイリッシュな大人の女性であった。
ボーカルにおいても、多様な歌唱法をとりいれており、
石川秀美の得意とするドスを効かせたハードな歌唱や、吐息のようなWhisperな歌唱が部分部分で使い分けられている点が素晴らしい。歌詞に合わせた情感を歌声で表現しきっている。
非常にうまいのが、同じメロディー、同じ歌詞においても2番とラストのサビでの違いがあり、聴いてる者を飽きさせない。
こういう巧さは本当にR&B歌手な証であると思う。
一見、淡々としたユーロビート調なだけに、一辺倒になりがちだが、歌手生活7年目。さすがの歌唱力を披露している。
また、アレンジにおいてもBridgeで盛り上げるEギターのリフの素晴らしさ。
リズムテンポは同じなのに、より盛り上がりドラマティックにラストを飾る。
アルバム中の後半では唯一のUPテンポな曲なのだが、前曲から、そして次の曲へとの流れが素晴らしく、じっくり聴かせている位置にある。
それにしても「リップスティック」というタイトルは歌詞には出てこないのだが・・・
デビュー当時、石川秀美本人も好きだったという桜田淳子とも取れるのだが・・・否、それはリンクしないなぁ。
が、濁音セクシー歌唱という点においては両者に共通するところであろう。あ、でもあんまり桜田淳子の曲は知らないんだけどね。
というわけで、カバー曲ではない。
このアルバムの曲の中に♪アフロディーテの罠でも、前述したのだが、実に同曲においても怪しい夜の舞踏会の世界観があって楽しい。
♪(JOKE)肌色した仮面つけて踊るわ。(DARK)いつの間にか乱れてゆくステップ。
なんとも、こういうロマンティックホラーな、洋風で怪しい世界観が素晴らしい。
石川秀美の曲となると”妖しい”が正解なわけだけどね。
本人談からもあるように「化粧をすると、いつもの自分からパフォーマーとしての自分に気持ちが切り替わる」と言っていただけに、
「リップスティック」というタイトルから曲、歌詞、世界観が一つになった石川秀美のアイドル歌手から大人の歌手への成長を物語るにふさわしい一曲であることが伺える。
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