Sea Loves You 石川秀美

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ハーバーライトにゆれて

2008-01-20 03:32:17 | 09.SECRET

石川秀美と言えば「爽やか」「健康的」「溌剌」「元気」「スポーツ」「夏」のイメージのアイドル歌手であったが、それらをより開花させるべく、
徐々にハードでシリアスな楽曲を歌っており、また、そこが俺の1番好きな石川秀美の歌手像である。

この楽曲においても、ちょうどそのように方向性をシフトチェンジし始めた時期で、転換期というような大胆なチェンジではなく、世界観を増長させたような成長の軌跡であると断言できる。

まさにそれらを印象付ける楽曲力を1stトラックで証明し、聴かせてくれたのがこの曲である。
前作品までは王道アイドル路線であったのに対し、アイドル石川秀美以上に、石川秀美色を打ち出し始めたのが今曲を含めた8thアルバム:SECRET

と言っても実はシングル面においてはこの年:1984からその志向は始まっていた。
作曲家:林哲司のコメントにもあったように「大人っぽさ」を表現した11thシングル:熱風
さらに、今アルバムのリードシングルとなった12thシングル:ミステリーウーマン

そして、今曲の登場である。上記シングルの踏襲路線である事は誰が聴いても分かり、アイドル石川秀美はより美しい大人の歌手へと大きく成長し始めたちょうどその瞬間を表している。

これだけの事を述べながらも、驚くべき事なのはこの曲の作家陣。
河合奈保子作品でもUPテンポなビート系が多かった作詞家の竜真知子。
前作品の7thアルバム:SUMMER BREEZEから起用されている滝沢洋一。
石川秀美のアイドル全盛期をアレンジした入江純。
とみると、アイドル時代を作った作家達による意識の中で作られた世界である事。

確かに、全活動時期の時代的作品を考察すると、この段階ではまだアイドル石川秀美の全盛時代であるが、第二期とも呼べる石川秀美の活動時期を作ってもいたのであったわけ。

エライ!w
何がって、違和感なく第一期、第二期、そして第三期へとつなげた楽曲の変遷がとても上手。

イントロとアウトロはいかにも!な80年代アレンジだが、当時の洋楽風で由。
打ち込み音がふんだんに使われた84年ならではの音使いに、石川秀美の持ち味をいかしたビート系の曲でアルバムの幕を開ける。

また、特筆すべきな点が一点あるのだが、当時の邦楽、またアイドルが歌う楽曲においてあまり例がない
1Verse>サビの後に、Bridgeを挟んで再びサビという曲構成。
アレンジとノリであるビートを途切れさせないような仕掛けなのであろうか。

非常に稀有な曲であり、この前後にもこの構成の楽曲はないからである。
ベースの動き、ギターの入りと打ち込みドラムとシンセサイザーのアレンジ形式はとても洋楽的である。

タイトル・歌詞世界観が2ndシングル:ゆ・れ・て湘南を追随した?当時の石川秀美を演出(熱風では1stシングル:妖精時代)なのだろうか。
海辺で車を走らせる疾走感。第一期の真髄は第二期でも踏襲され、よりハードに硬い意志のヒロインが描かれている。

ボーカルが大人の歌声とまだあどけない声が織り成しているが、後期にこの曲をライブで歌ってくれれば、アルバム収録時よりもずっとうまく歌えている石川秀美がみえてくる。
サビの2小節目までなど、とても説得力のある歌唱を聴かせている。

個人的には初購入したアルバム:MARINE BLUEに収録されていて、そこで知ったのがこの曲だったが、実に配置がよかった。大人っぽい08.微熱・サマーコールドの次にあって石川秀美の歌の足跡を違和感なく聴けたのが09.ハーバーライトにゆれて であったからだ。

改めて、前作品アルバムを入手していった頃、アルバム:SECRETの1stトラックである事も十分うなずける楽曲と感じたものであった。
ミステリーウーマンと姉妹曲とも言っても過言ではないだろう。


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