こんばんは
今日は、先日行われた「世界選手権2011・サンフランシスコ」での優勝デッキをご紹介
この大会では日本勢が個人・団体ともに優勝を奪いました
同時に行われたMO(マジック・オンライン)では優勝できませんでしたが、2冠という見事な成績を残してくれました。
今回は、個人戦で見事世界一に輝いた彌永 淳也さんの「赤緑タイタンコントロール」デッキをご紹介します。
世界選手権2011・サンフランシスコ・優勝
スタンダード
彌永 淳也 の 赤緑タイタンコントロール
クリーチャー14枚
1枚…極楽鳥(M12)
1枚…最後のトロール、スラーン(MBS)
4枚…業火のタイタン(M12)
4枚…原始のタイタン(M12)
4枚…真面目な身代わり(M12)
スペル20枚
4枚…感電破(SOM)
2枚…小悪魔の遊び(ISD)
2枚…緑の太陽の頂点(MBS)
1枚…ショック(M12)
4枚…不屈の自然(M12)
3枚…金屑の嵐(MBS)
4枚…太陽の宝球(MBS)
土地26枚
4枚…銅線の地溝(SOM)
4枚…墨蛾の生息地(MBS)
4枚…根縛りの岩山(M12)
3枚…ケッシグの狼の地(ISD)
6枚…山
5枚…森
【サイドボード】
4枚…秋の帳(M12)
2枚…古の遺恨(ISD)
1枚…金屑の嵐(MBS)
1枚…ヴィリジアンの堕落者(MBS)
2枚…最後のトロール、スラーン(MBS)
1枚…内にいる獣(NPH)
2枚…饗宴と飢餓の剣(MBS)
2枚…解放の樹(ISD)
「タイタンコントロール」と呼ばれるだけあって、「業火のタイタン」「原始のタイタン」はきっちり各4枚入っていますね。
このデッキの流れは、まずは「不屈の自然」や「太陽の宝球」、クリーチャーでは「極楽鳥」「真面目な身代わり」を使い序盤からマナを伸ばしにかかります。
「不屈の自然」 「太陽の宝球」
「極楽鳥」 「真面目な身代わり」
そして、6マナに達したら迫力満点のタイタン軍団が登場します
「原始のタイタン」 「業火のタイタン」
そして、脇を固めるのがスタンダードでは欠かせないこの土地です
「墨蛾の生息地」
みなさん御存じの、1マナ払うと飛行・感染を持つ1/1クリーチャーになるミシュラランド(クリーチャー化する土地)です。
タイタンはもちろん豪快かつ強力ですが、回避能力を持っていないためプレイヤーへダメージを与えるのにはターン数がかかります。
その点、「墨蛾の生息地」は飛行という回避能力を持っているためプレイヤーへダメージが通りやすいですね
そして、「墨蛾の生息地」の新パートナーとして活躍しているのがイニストラードで導入されたこのカード
「ケッシグの狼の地」
この土地もスタンダードでは欠かせない土地になってきてますね。
Xの数値分のパワーをプラスし、なおかつトランプルまで持たせてくれるパンプアップ能力を持つ土地
能力の起動には(山)と(森)を必要とするものの、このデッキでは最初に述べたようにマナ加速カードが満載なので問題なしです
地上のタイタン軍団に空から感染クリーチャー
2つの攻撃手段を兼ね揃えているのもこのデッキの強みですね。
対戦相手のクリーチャーには「感電破」や「金屑の嵐」で対処しますが、それでは対応しきれない大型クリーチャーには「小悪魔の遊び」で対処しましょう。
「小悪魔の遊び」
マナがどんどん伸びていくこのデッキに置いてX火力は相性抜群
ゲーム終盤になるとこれだけでゲームを決めにかかれますよ
と、ここまでこのデッキの流れを見てきました。
ここからはちょっと数学の授業(笑)に入りましょう
数学と言っても、みなさん知ってる「確立」のお話です。
例えば、サイコロで考えれば簡単
1の目がでる確率は1/6。
つまり、6回転がせば1回は1の目が出るってこと
ですね。
それをこのデッキに置き換えて考えてみましょう
ちなみに、このデッキは軽快にタイタンへ辿り着くのが勝負の決め手です。
ですから、まずはタイタン関係のカードについて考えていきましょう。
60枚のデッキの中で、
「原始のタイタン」+「業火のタイタン」=8枚
タイタンも呼び出す「緑の太陽の頂点」 =2枚
の合計10枚がタイタンに関係するカードとなります。
60枚のうち10枚ですので確率は10/60=0.16666…
最初の手札に来る確率 = 0.1666 × 7 = 1.1666…
つまり、最初の7枚引いた時点でタイタン関係のカードが1枚は入ってくる計算です。
最初の初手で、1枚もタイタン関係のカードが手札になければマリガンを考えたほうがいいかもしれません。
確立的に考えたら、マリガンした6枚でもタイタンは1枚引ける計算なのですから。
次に、マナ加速カードを見てみましょう
「極楽鳥」+「真面目な身代わり」+「不屈の自然」+「太陽の宝球」=13枚
60枚のうち13枚で確率は13/60=0.216666…
最初の手札に来る確率 = 0.2166 × 7 = 1.51666…
マナ加速カードもタイタン関係と同じ最初の7枚引いた時点で1枚は入ってくる計算です。
同様に土地カードも考えてみましょう
26/60=0.43333… → 0.433×7=3.033 →最初の7枚中3枚
上記の確率を考えると、理想的な初手は
タイタン関係 → 1.1枚
マナ加速関係 → 1.5枚
土地 → 3.0枚
となり、その他のカードが2枚入るか、マナ加速が2枚その他のカードが1枚入るのが理想的な初手です。
※もちろん、上記のカードの割合だけで理想的な初手が決まるわけではありませんのでご注意ください。
初手のマナコスト、デッキの構成(コンボデッキの場合は特に)やマナカーブ(土地が多く必要かそれほど必要でないのか)
対戦相手の使用デッキなどが関係してきます。
【マリガンの判断が勝敗を分ける】
ではでは、なぜ今回このような確率のお話をしたかというと、彌永さんの準々決勝・第4試合での出来事。
彌永さんの初手は下記の状態でした。
業火のタイタン
業火のタイタン
真面目な身代わり
金屑の嵐
ヴィリジアンの堕落者
根縛りの岩山
銅線の地溝
タイタン関係2枚、土地加速1枚、土地2枚
先に挙げた確立に見る理想的な初手で考えるとタイタン関係が1枚多く、土地が1枚少ない。
強力なタイタン2枚あるし…と初心者ならキープしそうなものだけれど、流れを考えると結構厳しい。
まず、タイタンが1枚多い点。
タイタンは6マナだってのが厳しい。
そして、その他のカードのマナコストも最低で3マナ必要。
さっき考えた土地を引く確率は0.43。
3枚引いたら1.3枚の土地がくる見通しである。
仮に3枚目に土地が来るとしたら…
【1ターン目】
「銅線の地溝」をプレイ。
【2ターン目】
ドロー(土地では無いなにか)
「根縛りの岩山」をプレイ。
【3ターン目】
ドロー(土地では無いなにか)
出せる土地が無くなってしまった
そう、3ターン目に土地が詰まる(出せる土地が無くなる)のです。
頂上決戦ともいえる世界選手権のような大会では1ターンの遅れが致命傷になってしまいます。
上記の事を考えるとマリガンしてもいい手札なのですが、彌永さんはキープを宣言します。
彌永さんのキープ判断はなんだったのかと言うと…
ライブラリにあと33枚のマナソース(土地と 2マナのマナソース)、5 枚の《ショック》、《古えの遺恨》などの足止めできるカードが残されています。
土地を引けなくてもそれらの妨害カードで序盤を耐えることができますね。
引きたくないカードは《原始のタイタン》《内にいる獣》《最後のトロール、スラーン》《金屑の嵐》だけなので、マリガンをするリスクよりも、土地かマナソースを引く確率が 6割近くあるキープの方がリターンが大きかっただけです。
彌永さん談話より抜粋
つまり、土地を引く確率は0.4なのだけれど、2マナ域のマナ加速カードか妨害系カードを含めるならもっと確率は上がる(6割近くある)よね。
だったら、手札が1枚減ってしまうマリガンを行うよりもキープしてた方がいいよね。
って、事だったのです。
これは、聞いてみると当たり前のことだけれど実践するとなると結構難しい。
まずは、デッキに入っている枚数と割合が完全に頭に入っていないと計算はできません。
そして、デッキのマナコスト域。
2マナ域で使えるカードはどれだけあって、その中にマナ加速がどんだけあって、火力系はどれだけあって・・・
などなど。
考えると頭が痛くなってきてしまいますが、何度も何度も同じデッキを使って試合をしていると自然に入ってくるのかもしれません。
世界を制するには、そのぐらい緻密な戦略が必要になってくるってことですね
先日の、広島で見せた白木さんが悩みながらマリガンした時もきっとそうだったに違いありませんね。
マリガンの判断基準がいかに勝負を分けるかが良く分かる試合でした。
ではでは、今回はこの辺で
今日は、先日行われた「世界選手権2011・サンフランシスコ」での優勝デッキをご紹介
この大会では日本勢が個人・団体ともに優勝を奪いました
同時に行われたMO(マジック・オンライン)では優勝できませんでしたが、2冠という見事な成績を残してくれました。
今回は、個人戦で見事世界一に輝いた彌永 淳也さんの「赤緑タイタンコントロール」デッキをご紹介します。
世界選手権2011・サンフランシスコ・優勝
スタンダード
彌永 淳也 の 赤緑タイタンコントロール
クリーチャー14枚
1枚…極楽鳥(M12)
1枚…最後のトロール、スラーン(MBS)
4枚…業火のタイタン(M12)
4枚…原始のタイタン(M12)
4枚…真面目な身代わり(M12)
スペル20枚
4枚…感電破(SOM)
2枚…小悪魔の遊び(ISD)
2枚…緑の太陽の頂点(MBS)
1枚…ショック(M12)
4枚…不屈の自然(M12)
3枚…金屑の嵐(MBS)
4枚…太陽の宝球(MBS)
土地26枚
4枚…銅線の地溝(SOM)
4枚…墨蛾の生息地(MBS)
4枚…根縛りの岩山(M12)
3枚…ケッシグの狼の地(ISD)
6枚…山
5枚…森
【サイドボード】
4枚…秋の帳(M12)
2枚…古の遺恨(ISD)
1枚…金屑の嵐(MBS)
1枚…ヴィリジアンの堕落者(MBS)
2枚…最後のトロール、スラーン(MBS)
1枚…内にいる獣(NPH)
2枚…饗宴と飢餓の剣(MBS)
2枚…解放の樹(ISD)
「タイタンコントロール」と呼ばれるだけあって、「業火のタイタン」「原始のタイタン」はきっちり各4枚入っていますね。
このデッキの流れは、まずは「不屈の自然」や「太陽の宝球」、クリーチャーでは「極楽鳥」「真面目な身代わり」を使い序盤からマナを伸ばしにかかります。
「不屈の自然」 「太陽の宝球」
「極楽鳥」 「真面目な身代わり」
そして、6マナに達したら迫力満点のタイタン軍団が登場します
「原始のタイタン」 「業火のタイタン」
そして、脇を固めるのがスタンダードでは欠かせないこの土地です
「墨蛾の生息地」
みなさん御存じの、1マナ払うと飛行・感染を持つ1/1クリーチャーになるミシュラランド(クリーチャー化する土地)です。
タイタンはもちろん豪快かつ強力ですが、回避能力を持っていないためプレイヤーへダメージを与えるのにはターン数がかかります。
その点、「墨蛾の生息地」は飛行という回避能力を持っているためプレイヤーへダメージが通りやすいですね
そして、「墨蛾の生息地」の新パートナーとして活躍しているのがイニストラードで導入されたこのカード
「ケッシグの狼の地」
この土地もスタンダードでは欠かせない土地になってきてますね。
Xの数値分のパワーをプラスし、なおかつトランプルまで持たせてくれるパンプアップ能力を持つ土地
能力の起動には(山)と(森)を必要とするものの、このデッキでは最初に述べたようにマナ加速カードが満載なので問題なしです
地上のタイタン軍団に空から感染クリーチャー
2つの攻撃手段を兼ね揃えているのもこのデッキの強みですね。
対戦相手のクリーチャーには「感電破」や「金屑の嵐」で対処しますが、それでは対応しきれない大型クリーチャーには「小悪魔の遊び」で対処しましょう。
「小悪魔の遊び」
マナがどんどん伸びていくこのデッキに置いてX火力は相性抜群
ゲーム終盤になるとこれだけでゲームを決めにかかれますよ
と、ここまでこのデッキの流れを見てきました。
ここからはちょっと数学の授業(笑)に入りましょう
数学と言っても、みなさん知ってる「確立」のお話です。
例えば、サイコロで考えれば簡単
1の目がでる確率は1/6。
つまり、6回転がせば1回は1の目が出るってこと
ですね。
それをこのデッキに置き換えて考えてみましょう
ちなみに、このデッキは軽快にタイタンへ辿り着くのが勝負の決め手です。
ですから、まずはタイタン関係のカードについて考えていきましょう。
60枚のデッキの中で、
「原始のタイタン」+「業火のタイタン」=8枚
タイタンも呼び出す「緑の太陽の頂点」 =2枚
の合計10枚がタイタンに関係するカードとなります。
60枚のうち10枚ですので確率は10/60=0.16666…
最初の手札に来る確率 = 0.1666 × 7 = 1.1666…
つまり、最初の7枚引いた時点でタイタン関係のカードが1枚は入ってくる計算です。
最初の初手で、1枚もタイタン関係のカードが手札になければマリガンを考えたほうがいいかもしれません。
確立的に考えたら、マリガンした6枚でもタイタンは1枚引ける計算なのですから。
次に、マナ加速カードを見てみましょう
「極楽鳥」+「真面目な身代わり」+「不屈の自然」+「太陽の宝球」=13枚
60枚のうち13枚で確率は13/60=0.216666…
最初の手札に来る確率 = 0.2166 × 7 = 1.51666…
マナ加速カードもタイタン関係と同じ最初の7枚引いた時点で1枚は入ってくる計算です。
同様に土地カードも考えてみましょう
26/60=0.43333… → 0.433×7=3.033 →最初の7枚中3枚
上記の確率を考えると、理想的な初手は
タイタン関係 → 1.1枚
マナ加速関係 → 1.5枚
土地 → 3.0枚
となり、その他のカードが2枚入るか、マナ加速が2枚その他のカードが1枚入るのが理想的な初手です。
※もちろん、上記のカードの割合だけで理想的な初手が決まるわけではありませんのでご注意ください。
初手のマナコスト、デッキの構成(コンボデッキの場合は特に)やマナカーブ(土地が多く必要かそれほど必要でないのか)
対戦相手の使用デッキなどが関係してきます。
【マリガンの判断が勝敗を分ける】
ではでは、なぜ今回このような確率のお話をしたかというと、彌永さんの準々決勝・第4試合での出来事。
彌永さんの初手は下記の状態でした。
業火のタイタン
業火のタイタン
真面目な身代わり
金屑の嵐
ヴィリジアンの堕落者
根縛りの岩山
銅線の地溝
タイタン関係2枚、土地加速1枚、土地2枚
先に挙げた確立に見る理想的な初手で考えるとタイタン関係が1枚多く、土地が1枚少ない。
強力なタイタン2枚あるし…と初心者ならキープしそうなものだけれど、流れを考えると結構厳しい。
まず、タイタンが1枚多い点。
タイタンは6マナだってのが厳しい。
そして、その他のカードのマナコストも最低で3マナ必要。
さっき考えた土地を引く確率は0.43。
3枚引いたら1.3枚の土地がくる見通しである。
仮に3枚目に土地が来るとしたら…
【1ターン目】
「銅線の地溝」をプレイ。
【2ターン目】
ドロー(土地では無いなにか)
「根縛りの岩山」をプレイ。
【3ターン目】
ドロー(土地では無いなにか)
出せる土地が無くなってしまった
そう、3ターン目に土地が詰まる(出せる土地が無くなる)のです。
頂上決戦ともいえる世界選手権のような大会では1ターンの遅れが致命傷になってしまいます。
上記の事を考えるとマリガンしてもいい手札なのですが、彌永さんはキープを宣言します。
彌永さんのキープ判断はなんだったのかと言うと…
ライブラリにあと33枚のマナソース(土地と 2マナのマナソース)、5 枚の《ショック》、《古えの遺恨》などの足止めできるカードが残されています。
土地を引けなくてもそれらの妨害カードで序盤を耐えることができますね。
引きたくないカードは《原始のタイタン》《内にいる獣》《最後のトロール、スラーン》《金屑の嵐》だけなので、マリガンをするリスクよりも、土地かマナソースを引く確率が 6割近くあるキープの方がリターンが大きかっただけです。
彌永さん談話より抜粋
つまり、土地を引く確率は0.4なのだけれど、2マナ域のマナ加速カードか妨害系カードを含めるならもっと確率は上がる(6割近くある)よね。
だったら、手札が1枚減ってしまうマリガンを行うよりもキープしてた方がいいよね。
って、事だったのです。
これは、聞いてみると当たり前のことだけれど実践するとなると結構難しい。
まずは、デッキに入っている枚数と割合が完全に頭に入っていないと計算はできません。
そして、デッキのマナコスト域。
2マナ域で使えるカードはどれだけあって、その中にマナ加速がどんだけあって、火力系はどれだけあって・・・
などなど。
考えると頭が痛くなってきてしまいますが、何度も何度も同じデッキを使って試合をしていると自然に入ってくるのかもしれません。
世界を制するには、そのぐらい緻密な戦略が必要になってくるってことですね
先日の、広島で見せた白木さんが悩みながらマリガンした時もきっとそうだったに違いありませんね。
マリガンの判断基準がいかに勝負を分けるかが良く分かる試合でした。
ではでは、今回はこの辺で
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます