今、自衛隊の在り方を問う!

急ピッチで進行する南西シフト態勢、巡航ミサイルなどの導入、際限なく拡大する軍事費、そして、隊内で吹き荒れるパワハラ……

田中優子さん(法大総長)、あなたの自衛隊の先島―南西諸島配備に関する理解はこの程度ですか?

2018年11月08日 | 主張

 昨日、11月7日の毎日新聞夕刊は、法政大総長・田中優子氏の「南西諸島」に関するコラムを掲載している。
 本来、こんなコラムにいちいちめくじらを立てたくないのだが、氏は「安倍9条改憲NO! 全国市民アクション」の発起人にも名を連ねる「識者」のひとりであるから、黙って見逃すわけには行かない。



 まず第1に、田中氏は、「(「南西諸島は自衛隊による防衛拠点になりつつある」として)NHKによると、石垣島に10隻の巡視船が配備され、石垣海保は全国最大規模の700人……しかしそれでも足りないと500~600人規模の地対艦ミサイル部隊配備が計画され、宮古島には700~800人規模の地対艦ミサイル部隊などの配備が予定されている」と言う。先島―南西諸島の自衛隊配備について、NHKだけを参考資料にする問題や、配備部隊・人数、さらに奄美大島などの薩南諸島の自衛隊配備が欠落しているのは、ここではおいておこう。

 ここでの、田中氏の重大な認識の間違いは、海保の石垣島配備の強化と、自衛隊の先島―南西諸島の配備問題を、完全に混同していることである。つまり、自衛隊の南西シフト態勢が、「尖閣」問題(海保対処)と全く関係ない次元で進められているにも係わらず、政府(右派)のセンセーショナルなキャンペーンである「尖閣領有権争い」に与していることだ。繰り返すまでもないが、自衛隊の南西シフト態勢は、今や「尖閣」問題から完全に離れて、すでに「琉球列島弧封鎖」=「島嶼戦争」=東シナ海戦争という事態にまで突き進んでおり、中国脅威論に基づく対中抑止戦略として、新冷戦(暖かい戦争)というレベルに至っている。「識者」ともあろうものが、このようなアジア太平洋情勢と、それを巡る日米の南西シフト態勢に無知であるとは、許しがたいものだ。

 第2に、田中氏は、「本島には米軍基地、諸島には自衛隊。自立と自治はどうすれば力を持つのか」というのだが、これも事実についてまるで無知だと言わざるを得ない。沖縄本島で、今現在、急ピッチで推し進められているのは、辺野古の新基地作りだけではない。ここ数年、沖縄本島では、凄まじい勢いで自衛隊の、特に空自の増強が進められており、この上に、水陸機動団の1個連隊がキャンプ・ハンセンに配備されること、在沖縄米軍基地の全てが、日米共同使用として計画されていることは、自衛隊文書でも、報道でも明らかだ(2012年統合幕僚監部「「日米の『動的防衛協力』について」など)。付け加えれば、先島―南西諸島の自衛隊配備は、必ず、米軍基地としても使用されるということだ。先日発表された、空自築城基地、新田原基地を見れば、これは一目瞭然だ(2006年「再編実施のための日米のロードマップ」で明記)
 田中氏は、こういう事実さえ、ご存じないというのだろうか? だとすれば「識者」としていかがなものかと言わねばならない。

 こういう前提的認識が崩れているわけだから、田中氏がこのコラムで示す、薩摩藩の琉球支配、八重山・宮古島支配と、日本政府・米国の沖縄支配・先島支配の構図も、いささか論点がズレてしまっていると言えよう。
 それにしても、法大総長ともあろうものが、この自衛隊の南西シフトを巡る重大問題を、NHK報道でしか知らない、知り得ないというのも嘆かわしいものだ(NHKは南西シフトについての報道は、ほんのわずかしかない)。