昨日までとはうって変わり、猛暑となった夜。
両者とも消耗を恐れて、抑え気味に、ゲームを進めた。
最初のビッグチャンスはモドリッチが演出した。飛び出し、えぐり、中に鋭いボールをいれた。シュートは惜しくもポストに嫌われた。決まっていてもおかしくない場面だったが、その後は膠着が続いた。
じわじわと暑さがきいてきて、後半30分近くになるとクロアチアの動きが落ちた。
この熱さは、やはりトルコに味方したのだ。
そして延長戦に入ったが、膠着は続き、やがて120分が過ぎようとしていたとき、クロアチアにチャンスがきた。ゴール前でもつれたボールをGKが追ってきたのを見逃さなかったモドリッチが、すばやくボールをゴール前に蹴った。そこにクロスニクが入り込んできて、ついにゴールを割った。
誰もがクロアチアが勝ったと思ったろう。
しかしトルコの選手たちは諦めなかった。すぐにロングボールを放り込み、誰かがディフェンダーを体当たりでつぶし、こぼれたボールを、セミフがゴールに叩き込んだ。あっという間の出来事だった。
PK戦を前にした両者の監督の表情が対照的だった。
ジキッチは選手交代を認めずにゲームをきらなかったことを、審判にしつこく非難していた。勝利を手中にしていたはずだという悔しさが押さえきれなかったのだろう。
一方のテリムは選手を誉め、ねぎらい、励ましていた。
トルコが有利だろうと思った。
勝ったと思った直後、1分もたたないうちに追いつかれてショックを受けるなというほうが無理だろう。
1番手はモドリッチ。ボールは枠の外。これがトドメになった。
クロアチアの選手たちは重圧に負け、3人が失敗して敗れた。
トルコは、チェコにリードされながら終盤7分の間に2点を返して逆転して今日の準々決勝に進み、今日は今日で120分に、失点の1分後に追いついて勝った。
すごいというほかない。ツキも味方しているかもしれないが、もちろん実力があり、そして精神的に強い。最高にタフだ。
準決勝はゲルマン魂とぶつかるが、どちらが勝つかはまったくわからないだろう。
ポルトガル大会を制したのは誰も予想しなかったギリシャだったが、今回も大番狂わせとなるかもしれない。
[クロアチア×トルコ - euro2008 順々決勝]