「タカラベタクゾ」・・・その言葉を頭の中でめぐらしてみた。
そういえば「タカラベタクゾー」って聞いたことがある。確かどこかの大学の先生で、テレビでも、たまに顔を見た事があるし、世界的なナンチャラ賞とかに毎年候補にあがっていて、話題になってたりしてた。変わった名前だったから、頭の片隅に残っていた。
「なんだかよくわかんないけど、その偉い先生が、スキップについて本を書いたってこと?」
「そうです。先生は、スキップについて大変な大発見をされたのです」
「発見? ちょっと待って!そんな偉い先生がスキップについて本なんか書きますか?まさか、その分厚い本の中ぜんぶ、スキップってことありえないでしょ!」
「信じられませんか?」男は、本を、なんヵ所かに分けてパラパラとめくってみせた。
英語がズラズラと並んでて、時折、図解や数式があるのだが、なんだかわからない。ただ、チラッと見えたスキップをしてる人物の連続写真だけが印象に残った。
「無理もありません。この本が書かれるまでには、あと30年ほどの月日が必要ですから」「ハアッ?」わたしは、ふーっと、ため息をついた。
「あなた。ひとをだますんだったら、どうせウソにしたって、もうチョット本当ぽく聞こえるようなウソをつきなさいよ!」自然と大きな声になっていた。
「言われるように、本当らしく聞こえるようにご説明したいのですが、残念ながら、本当の事を言えば言うほどウソっぽく聞こえてしまうのですよ。悲しいことです」
この男、ひとをからかうにもほどがある。どうせ、ひとをアポ電とかオレオレ詐欺にだまされるお年寄りぐらいに思ってるんだ。どうせだますならもっと巧妙にやってほしい。勘違いしないで。わたしって、そんな簡単にだまされるような人間なんかじゃない!わたしは、深呼吸をした。
「あの・・・。この前、もらった名刺に書いてあったあなたの会社の住所。ネットでも調べてみたし、ここからもすぐ近くだったから、その場所まで行ってみたんです」
男が少し困った表情をみせたので、わたしはにやけた。「そ、そんなカイシャ、どこにもありませんでしたよ!」
「それも致し方ない事なのでして。弊社が設立されたのは、今から50年ほど先のことなんです」
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