お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ブラック・ジョーク『名医ハリー・15』

2009年02月07日 | 名医ハリー(ショートショート)
71
「ねえ、良い話と悪い話と、どっちが聞きたい?」
「良い方が先ね」
「美人の誉れ高いアリス先生が新しく着任するのよ」
「まあ、それは病院内が明るくなるわね! ・・・で、悪い話って言うのは?」
「・・・そのアリス先生、前の病院で『女ハリー』って呼ばれていたんだって・・・」
 

72
「アリス先生、男性患者に人気があるのよ」
「そりゃ、そうでしょう。あんな美人な先生ならね」
「でも、それだけじゃないわ」
「他に何かあるの?」
「どうせ最期に見るんならアリス先生の顔が良いんだって」


73
「ねえ、ハリー先生はどちらにいらっしゃるのかしら?」
「あら、アリス先生。ハリー先生なら今手術中です」
「まあ、口惜しい! 一歩リードされちゃったわ!」
「何のお話ですか?」
「二人で記録に挑戦しているのよ」
「どんな記録なんですか?」
「決まっているでしょう。ワースト記録よ」


74
「アリス先生、どこに行ったか知らないかい?」
「あら、ハリー先生。アリス先生なら、中庭へ泣きながら走って行きましたけど・・・」
「やっぱり、そうか・・・」
「何かあったんですか?」
「アリス先生は、ここの所手術が成功続きで、僕に負けっぱなしで口惜しいらしいんだ」


75
「ハリー先生、最近手術をしないわね」
「アリス先生と関係があるらしいわ」
「あら、アリス先生は出張中じゃない」
「だから、帰ってくるまで公正を期すためなんだって」
「まだ続いているんだ、記録への挑戦・・・」



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