電車の中のコーイチは押され押されて反対側のドアに押し付けられてしまった。いつものようにぎゅうぎゅう詰めの車内だったが、コーイチには全く関心がなかった。ぼうっとした視線を車窓から外へと向けている。
いつもと同じ景色の中にいるボク…… でも本当は非日常的な世界の真っ只中のボク…… 誰かに救いを求めたいボク…… コーイチは流れて行く景色を目に映しながらため息をついた。やはり、誰かに相談しよう。相手は迷惑かもしれないけど、それしかボクが助かる道はない! コーイチは決然とした表情に変わり一人で頷いた。隣の女子高生がころころ変わるコーイチの顔を覗き込んででくすくす笑っていた。
いったい誰に相談しようかな…… コーイチはややより目になりながら電車内の天井を見上げ考え込んだ。
清水さんはこんなオカルトっぽい話にはうってつけだけど……
コーイチは清水の目だけ笑っていない笑顔と下あごをカチカチ鳴らしている死神とが仲良く並んでいる所を思い浮かべた。その背後に大魔王コレストウトスの不気味な姿が見え隠れする。なんとなくイヤな予感がした。……清水さんじゃあダメだ。コーイチは頭を左右に振る。
林谷さんならどうかな。珍し物好きだからきっと面白がって持っていってくれるんじゃないかな。そして、持てる財力で謎を解明してくれるかもしれない……
コーイチは林谷が細長いタバコを銜えて純金の拳銃を構え、その隣で同じタバコを口の端で上下させながらサイレンサー付きの拳銃をこちらに向けている殺し屋を思い浮かべた。その背後に胸に赤く“J”を染め抜いた、頭もからだもすっぽりと包む、全身タイツみたいなからだにぴったりな真っ黒い制服を着た悪の組織ジャークの戦闘員が見え隠れする。なんとなくイヤな予感がした。……林谷さんもダメか…… コーイチは頭を左右に振る。
印旛沼さんなら手品の道具と思い込んでタネを調べるためとか言ってバラバラにしてしまうかもしれない。そうしてくれればもう二度と指を噛まれる事はないか。
コーイチは印旛沼が黒いビロードのマントを羽織り、その前で白いミニドレスの黒いショートヘアの若い女性の手品師が手にした青龍刀を鮮やかに振り回しているステージを思い浮かべた。その背後に様々な色のネオンで形作られた“国際裏手品師機構”の文字が明滅していた。なんとなくイヤな予感がした。……印旛沼さんはちょっとまずいよなぁ…… コーイチは頭を左右に振る。
隣の女子高生がコーイチの顔を指差して我慢しきれずにゲラゲラ笑い出した。コーイチは驚いて女子高生を見た。
そうだ! 西さん、西川先輩なら良いかもしれない!
コーイチはまた一人で頷いた。
つづく
いつもと同じ景色の中にいるボク…… でも本当は非日常的な世界の真っ只中のボク…… 誰かに救いを求めたいボク…… コーイチは流れて行く景色を目に映しながらため息をついた。やはり、誰かに相談しよう。相手は迷惑かもしれないけど、それしかボクが助かる道はない! コーイチは決然とした表情に変わり一人で頷いた。隣の女子高生がころころ変わるコーイチの顔を覗き込んででくすくす笑っていた。
いったい誰に相談しようかな…… コーイチはややより目になりながら電車内の天井を見上げ考え込んだ。
清水さんはこんなオカルトっぽい話にはうってつけだけど……
コーイチは清水の目だけ笑っていない笑顔と下あごをカチカチ鳴らしている死神とが仲良く並んでいる所を思い浮かべた。その背後に大魔王コレストウトスの不気味な姿が見え隠れする。なんとなくイヤな予感がした。……清水さんじゃあダメだ。コーイチは頭を左右に振る。
林谷さんならどうかな。珍し物好きだからきっと面白がって持っていってくれるんじゃないかな。そして、持てる財力で謎を解明してくれるかもしれない……
コーイチは林谷が細長いタバコを銜えて純金の拳銃を構え、その隣で同じタバコを口の端で上下させながらサイレンサー付きの拳銃をこちらに向けている殺し屋を思い浮かべた。その背後に胸に赤く“J”を染め抜いた、頭もからだもすっぽりと包む、全身タイツみたいなからだにぴったりな真っ黒い制服を着た悪の組織ジャークの戦闘員が見え隠れする。なんとなくイヤな予感がした。……林谷さんもダメか…… コーイチは頭を左右に振る。
印旛沼さんなら手品の道具と思い込んでタネを調べるためとか言ってバラバラにしてしまうかもしれない。そうしてくれればもう二度と指を噛まれる事はないか。
コーイチは印旛沼が黒いビロードのマントを羽織り、その前で白いミニドレスの黒いショートヘアの若い女性の手品師が手にした青龍刀を鮮やかに振り回しているステージを思い浮かべた。その背後に様々な色のネオンで形作られた“国際裏手品師機構”の文字が明滅していた。なんとなくイヤな予感がした。……印旛沼さんはちょっとまずいよなぁ…… コーイチは頭を左右に振る。
隣の女子高生がコーイチの顔を指差して我慢しきれずにゲラゲラ笑い出した。コーイチは驚いて女子高生を見た。
そうだ! 西さん、西川先輩なら良いかもしれない!
コーイチはまた一人で頷いた。
つづく
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