お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ブラック・ジョーク『名医ハリー・3』

2008年09月20日 | 名医ハリー(ショートショート)
11
 ハリーが手術台の上の患者の腹部にメスを入れた。
 とたんに、白いハトが飛び立ち、クラッカーがパンパンと鳴って紙吹雪が舞った。
 ハリーは散らかった手術室の床にメスを叩き付けた。
「だから、手品師を手術するのはイヤなんだ!」


12
 手術室からハリーと看護師たちが飛び出して来た。
「先生、どうしましょうか」
「どうしようもない。麻酔であんなに大イビキをかかれては・・・」


13
「先生、手術の時間ですが・・・」
「ああ。でも、なんだか今日はノリが悪くって・・・」
「ですが、患者さん、とびきりの美人ですよ」
 看護師が言い終わった時、ハリーはすでに手術室に居た。


14
「先生、早く避難して下さい! 地震は起こるし、大雨は降るし、竜巻は発生するしで、まさに、天変地異です!」
「これは僕のせいなんだ・・・」ハリーは弱々しく言った。「昨日、めずらしく、僕の患者が全快して無事に退院したもんだから・・・」


15
「ねぇ、君。この指先に刺さったトゲを抜いてくれないか?」
「先生は外科医なんですから、ご自分でなされば良いじゃないですか」
「自分の腕前が分かっているから、頼んでいるんだよ」



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