「青少年更生法」が国会で採択されました。将来を背負って立つ若者が堕落した道へ進むことは悲しいことです。それを阻止するのは「大人」の務めです。
この法律は十代の若者全てに適用されます。内容は色々と書かれていますが、大まかに言えば「大人の言う事に逆らってはいけない」と言うものでした。目に余る青少年達の行動、言動などに、いわゆる「大人」たちが「更生」に乗り出すことを明文化したものなのです。
具体的に言えば、飲酒や喫煙をする個人、たむろして不良行為を行なうグループなどを見かけたら、力を持ってそれらを止めさせる事ができるのです。簡単に言えば、暴力に訴えてでも正しい道へと戻らせる事を可能としたのです。逆らう若者は逮捕され、より厳しい措置の取られる「更生院」へと送致されます。そして、相応な「更生訓練」を受け、「立派な」青少年となって社会に復帰するのです。
しかし、適用される側の若者達には「悪ガキ退治法」と陰口を叩かれていました。さらには「悪ガキ退治法」にまつわる話も流布し始めました。
「更生院の更生訓練は、からだに爆弾を仕掛けられて、大人に逆らったのが分かると遠隔スィッチを押されて、ボン! で、おしまいさ」
「更生院からは夜な夜な若い男や女の苦痛の悲鳴が流れて来る」
「更生院の中庭には、深く大きな穴が掘られている。更生できずに死んだヤツらはそこに捨てられている」
「深夜におっさんやおばさんが釘を打ちつけたバットやら鎖やらスタンガンやらを持って集団でうろうろしてるんだ。そして、若いのを見つけると取り囲んで有無を言わせずに半殺しにするんだ。済んだ後に『言う事を聞かないから、そうなるんだよ』って、捨て台詞を残した去って行く」
「反抗していたヤツが全国指名手配になって、居場所をチクった同級生が、褒美として無条件で国立の一流大学に入学でき、卒業後は某省庁に無試験で入った」
話に話が付いて、どれが本当のことなのか分からなくなっていました。ただ、青少年達には「大人に逆らうな」との認識がいやと言うほどに叩き込まれました。
さて、「青少年更生法」は世代が変わることで、一般的な法律として定着しました。次々と育って行く青少年達は、大人に逆らわず、不良行為をせず、明るく健全な若者として社会を担って行きます。
今に思えば、大胆に思われた「青少年更生法」も、結果としては「良法」であったと、制定に尽力した「大人」たちは思いました。
そんなあるとき、国会で「老人更生法」が採択されました。将来を背負って立つ若者達につまらぬ智恵を与える年寄りは性別に関わらず、それを阻止すると言った内容でした。「年寄りは年寄りであるだけで若者の害毒である」。前文にはそう記されていました。
逆らう年寄りは逮捕され、より厳しい措置の取られる「更生院」へと送致されます。そして、相応な「更生訓練」を受け、「無害な」お年寄りとなって社会に復帰するのです。
この法律を施行するために尽力したのは、社会の中核を担うようになった、「青少年更生法」できつい目に会った当時の若者達でした。そして、この法律が適用されるのは、当時「青少年更生法」を施行した「大人」たちでした。
「更生院の更生訓練は、からだに爆弾を仕掛けられて、法律に逆らったのが分かると遠隔スィッチを押されて、ボン! で、おしまいじゃ」
「更生院からは夜な夜な年寄りの苦痛の悲鳴が流れて来るそうな」
「更生院の中庭には、深く大きな穴が掘られている。更生できずに死んだ年寄りはそこに捨てられているんじゃと」
「昼日中に若い男女達が釘を打ちつけたバットやら鎖やらスタンガンやらを持って集団でうろうろしておってのう。で、年寄りを見つけると取り囲んで有無を言わせずに半殺しにしよるんじゃ。済んだ後に『年寄りの散歩は朝っぱらにしやがれ!』って、捨て台詞を残した去って行くのじゃて」
「反抗していた年寄りが全国指名手配になって、居場所をチクった年寄りが、褒美として年金が十倍に引き上げられ、死んだ時に国葬され、立派な墓を国に建ててもらったそうじゃのう」
話に話が付いて、どれが本当のことなのか分からなくなっていました。ただ、年寄り達には「今の若いものには逆らうな」との認識がいやと言うほどに叩き込まれました。
過ぎたるは及ばざる、とはよく言ったものです。行き過ぎは、逆に己の首を絞める事も多々ある様でございます。気をつけてまいりましょう・・・
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この法律は十代の若者全てに適用されます。内容は色々と書かれていますが、大まかに言えば「大人の言う事に逆らってはいけない」と言うものでした。目に余る青少年達の行動、言動などに、いわゆる「大人」たちが「更生」に乗り出すことを明文化したものなのです。
具体的に言えば、飲酒や喫煙をする個人、たむろして不良行為を行なうグループなどを見かけたら、力を持ってそれらを止めさせる事ができるのです。簡単に言えば、暴力に訴えてでも正しい道へと戻らせる事を可能としたのです。逆らう若者は逮捕され、より厳しい措置の取られる「更生院」へと送致されます。そして、相応な「更生訓練」を受け、「立派な」青少年となって社会に復帰するのです。
しかし、適用される側の若者達には「悪ガキ退治法」と陰口を叩かれていました。さらには「悪ガキ退治法」にまつわる話も流布し始めました。
「更生院の更生訓練は、からだに爆弾を仕掛けられて、大人に逆らったのが分かると遠隔スィッチを押されて、ボン! で、おしまいさ」
「更生院からは夜な夜な若い男や女の苦痛の悲鳴が流れて来る」
「更生院の中庭には、深く大きな穴が掘られている。更生できずに死んだヤツらはそこに捨てられている」
「深夜におっさんやおばさんが釘を打ちつけたバットやら鎖やらスタンガンやらを持って集団でうろうろしてるんだ。そして、若いのを見つけると取り囲んで有無を言わせずに半殺しにするんだ。済んだ後に『言う事を聞かないから、そうなるんだよ』って、捨て台詞を残した去って行く」
「反抗していたヤツが全国指名手配になって、居場所をチクった同級生が、褒美として無条件で国立の一流大学に入学でき、卒業後は某省庁に無試験で入った」
話に話が付いて、どれが本当のことなのか分からなくなっていました。ただ、青少年達には「大人に逆らうな」との認識がいやと言うほどに叩き込まれました。
さて、「青少年更生法」は世代が変わることで、一般的な法律として定着しました。次々と育って行く青少年達は、大人に逆らわず、不良行為をせず、明るく健全な若者として社会を担って行きます。
今に思えば、大胆に思われた「青少年更生法」も、結果としては「良法」であったと、制定に尽力した「大人」たちは思いました。
そんなあるとき、国会で「老人更生法」が採択されました。将来を背負って立つ若者達につまらぬ智恵を与える年寄りは性別に関わらず、それを阻止すると言った内容でした。「年寄りは年寄りであるだけで若者の害毒である」。前文にはそう記されていました。
逆らう年寄りは逮捕され、より厳しい措置の取られる「更生院」へと送致されます。そして、相応な「更生訓練」を受け、「無害な」お年寄りとなって社会に復帰するのです。
この法律を施行するために尽力したのは、社会の中核を担うようになった、「青少年更生法」できつい目に会った当時の若者達でした。そして、この法律が適用されるのは、当時「青少年更生法」を施行した「大人」たちでした。
「更生院の更生訓練は、からだに爆弾を仕掛けられて、法律に逆らったのが分かると遠隔スィッチを押されて、ボン! で、おしまいじゃ」
「更生院からは夜な夜な年寄りの苦痛の悲鳴が流れて来るそうな」
「更生院の中庭には、深く大きな穴が掘られている。更生できずに死んだ年寄りはそこに捨てられているんじゃと」
「昼日中に若い男女達が釘を打ちつけたバットやら鎖やらスタンガンやらを持って集団でうろうろしておってのう。で、年寄りを見つけると取り囲んで有無を言わせずに半殺しにしよるんじゃ。済んだ後に『年寄りの散歩は朝っぱらにしやがれ!』って、捨て台詞を残した去って行くのじゃて」
「反抗していた年寄りが全国指名手配になって、居場所をチクった年寄りが、褒美として年金が十倍に引き上げられ、死んだ時に国葬され、立派な墓を国に建ててもらったそうじゃのう」
話に話が付いて、どれが本当のことなのか分からなくなっていました。ただ、年寄り達には「今の若いものには逆らうな」との認識がいやと言うほどに叩き込まれました。
過ぎたるは及ばざる、とはよく言ったものです。行き過ぎは、逆に己の首を絞める事も多々ある様でございます。気をつけてまいりましょう・・・
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