宇宙から戦艦で編隊を組んだ大船団が現われました。主艦と思われる一際巨大な宇宙船が通信を送ってきました。
「地球の諸君、我々は宇宙全てをこの手に収めるべく、長い年月に渡り、無数の戦闘を繰り返してきた。闘うか服するか、どちらかしか諸君には選択肢はない。しかし、この地球はとても美しい。消滅させるには惜しい惑星だ。そこで、提案がある。諸君の中から一人、地球の代表を我々に差し出すのだ。それで、地球は救われる。回答までに地球の時間で四十八時間を与えよう。それまでに差し出せなければ、残念だが、地球は一瞬で消滅される」
一方的な通達に世界中が大騒ぎとなりました。直ちに国連で会議が開かれました。
「とにかくだ、地球代表を一人選んで渡してやれば、地球の消滅は避けられるのだ」議長は言いました。「誰が適任か、検討してもらいたい」
「死刑囚を一人送れば良い!」某国代表が叫びます。「どうせ死ぬ身だ。問題はないだろう」
「しかしだ」某国と対立している某国が言います。「そんな者を送って、なんと誠意のない惑星だと怒りを買うかもしれない。そうなれば破滅だ」
「ならば、人類最高の頭脳を送れと言うのか?」某国の肩を持つ某国が横槍を入れます。「平和になっても今後の人類の発展が遅くなってしまうぞ」
「志願者を募ってみてはどうだ」新興勢力として成り上がってきた某国が割って入ります。「自国のため以上に名誉な話だ」
「志願者が多すぎるとどうなるのか?」新興勢力の某国と対立する別の新興勢力の某国が疑問を呈します。「選考に時間がかかってしまう! 結果として、時間切れとなるだろう」
意見はまとまりません。議長が立ち上がりました。
「ここでこのように議論をしていても始まらない。そこで、やってきた奴らに選ばせよう。そうすれば、皆等しく機会が与えられるし、選ばれた者は気の毒だが、人類と地球の存続のためと思って諦めてもらおう。これなら、どこからも文句は出まい」
議長の意見を全会一致で採択しました。決定事項を宇宙船に通信しました。
「そう言う事もあろうかと、我々は地球の諸君のリストを作成してあるのだ。地球上の、たかが数十億人のリスト作成など、我々の科学力を持ってすれば、たやすい作業だ。では我々に似た者を一人、選ぶ事にする。見つけ次第、直ちに我々に差し出すのだ。見つけて差し出すまで、十二時間待ってやろう。間に合わなければ、消滅だ」
主艦から映像データが送られてきました。
「なんだこれは・・・」
「奴らのデータはどうなっているんだ!」
「地球の歴史を知っているのか?」
「奴らは寿命が長いので、それを基準にしているんじゃないのか!」
「とにかく、もうダメだ!」
データの映像は、目深に軍帽を被り、鼻の下にちょび髭を生やした、第二次世界大戦で悪名を馳せた某国の独裁者のものでした。
「類は友を呼ぶ」・・・ 地球だけに当てはまって欲しい諺ですね。
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「地球の諸君、我々は宇宙全てをこの手に収めるべく、長い年月に渡り、無数の戦闘を繰り返してきた。闘うか服するか、どちらかしか諸君には選択肢はない。しかし、この地球はとても美しい。消滅させるには惜しい惑星だ。そこで、提案がある。諸君の中から一人、地球の代表を我々に差し出すのだ。それで、地球は救われる。回答までに地球の時間で四十八時間を与えよう。それまでに差し出せなければ、残念だが、地球は一瞬で消滅される」
一方的な通達に世界中が大騒ぎとなりました。直ちに国連で会議が開かれました。
「とにかくだ、地球代表を一人選んで渡してやれば、地球の消滅は避けられるのだ」議長は言いました。「誰が適任か、検討してもらいたい」
「死刑囚を一人送れば良い!」某国代表が叫びます。「どうせ死ぬ身だ。問題はないだろう」
「しかしだ」某国と対立している某国が言います。「そんな者を送って、なんと誠意のない惑星だと怒りを買うかもしれない。そうなれば破滅だ」
「ならば、人類最高の頭脳を送れと言うのか?」某国の肩を持つ某国が横槍を入れます。「平和になっても今後の人類の発展が遅くなってしまうぞ」
「志願者を募ってみてはどうだ」新興勢力として成り上がってきた某国が割って入ります。「自国のため以上に名誉な話だ」
「志願者が多すぎるとどうなるのか?」新興勢力の某国と対立する別の新興勢力の某国が疑問を呈します。「選考に時間がかかってしまう! 結果として、時間切れとなるだろう」
意見はまとまりません。議長が立ち上がりました。
「ここでこのように議論をしていても始まらない。そこで、やってきた奴らに選ばせよう。そうすれば、皆等しく機会が与えられるし、選ばれた者は気の毒だが、人類と地球の存続のためと思って諦めてもらおう。これなら、どこからも文句は出まい」
議長の意見を全会一致で採択しました。決定事項を宇宙船に通信しました。
「そう言う事もあろうかと、我々は地球の諸君のリストを作成してあるのだ。地球上の、たかが数十億人のリスト作成など、我々の科学力を持ってすれば、たやすい作業だ。では我々に似た者を一人、選ぶ事にする。見つけ次第、直ちに我々に差し出すのだ。見つけて差し出すまで、十二時間待ってやろう。間に合わなければ、消滅だ」
主艦から映像データが送られてきました。
「なんだこれは・・・」
「奴らのデータはどうなっているんだ!」
「地球の歴史を知っているのか?」
「奴らは寿命が長いので、それを基準にしているんじゃないのか!」
「とにかく、もうダメだ!」
データの映像は、目深に軍帽を被り、鼻の下にちょび髭を生やした、第二次世界大戦で悪名を馳せた某国の独裁者のものでした。
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