お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

ブラック・ジョーク『名医ハリー・51』

2010年05月23日 | 名医ハリー(ショートショート)
251
「ハリー先生、外科医を主人公にした映画の主演の依頼があるんだって?」
「そうなの。ハリー先生、本来ハンサムなんだから、当然のオファーよ」
「手術シーンなんかもあるんでしょ? わたし、看護師役で使ってもらおうかな。いつもお手伝いをしているし」
「それはどうかしらね。手術シーンは、しっかりした腕の立つ、別の外科医が代役をするらしいから」


252
「スミスさん、テレビで患者さん役のエキストラ出演したんですって?」
「ああ、女房が応募してね。半ば無理矢理さ」
「観た人の話だと、辛そうで苦しそうな感じが良く出たリアルな演技だったって、褒めてましたわ」
「ああ、出演の前日に女房が直接に演技指導をしてくれたんだ。殴る蹴るといった具合でね・・・」


253
「ねえ、看護師のお姉さん。わたし、ちょい役でも良いから、テレビや映画に出て、みんなに観てもらえたら嬉しいわ」
「大人になると、ごく一部の熱心な人たちに全てを観てもらえる方が嬉しくなるものなのよ、メイベルちゃん・・・」


254
「あなた、元女優だったんだって?」
「違うわ! 元男優だったのよ!」


255
「アリス先生、外科医を主人公にした映画の主役の依頼があるんだって?」
「そうなの。アリス先生、本来美人でスタイル抜群なんだから、当然のオファーよ」
「手術シーンなんかもあるんでしょ? わたし、看護師役で使ってもらおうかな。いつもお手伝いをしているし」
「それはどうかしらね。途中で『オペレーション・レディ』とかに変身して、悪人を手術道具でバッタバッタと斬り倒して行くヒロイン物らしいから」





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