お話

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シュタークスミス博士の大発明 1 ―大いなるパン―

2007年10月12日 | シュタークスミス博士(一話完結連載中)
「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで人類は食糧問題を解決したぞ!」
 博士の発明したものは、握りこぶし程の大きさのパンだった。
 見た目はただのパンだが、一つ食べると約一ヶ月他に何も食べなくても飲まなくても平気でいられるだけの栄養があるものなのだ。しかも作るための材料費も安く、大量に作ることも可能だった。
 世界中の人々に配るくらいの量はすぐに出来るはずだった。
「さっそく試食してみよう!」
 喜びにあふれた笑顔で博士は一口かじりついた。
 途端に顔色が変わり、あわててパンを吐き出した。
 栄養は十分あるし、安く作れる。夢のような食べ物だが、一つ問題があった。
 おそろしくマズイのだ。
 味を良くする成分を加えると、多分ただのおいしいパンになってしまうだろう。
 「こいつは困ったわい・・・」
 どんなに良いものでも、多くの人はおいしくないと食べてくれないものなのだ。

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