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霊感少女 さとみ 番外編 19

2019年05月27日 | 霊感少女 さとみ 番外編(全32話完結)
「まあ、そう言わないで」百合江は笑いながらみつを励ました。……この姐さん、絶対楽しんでいるね。楓は思った。「じゃあ、みつさん。わたしが一つ教えてあげるわ」
「……わたしに出来ますか?」みつは不安そうだ。「修業せずとも、出来るものなのでしょうか? 時間が無いとおっしゃっておられたので……」
「大丈夫よ。すぐに出来るわよ」百合江は優しく言った。「じゃあ、両手でスカートの裾をつかんでみて」
「すか、すかうとう……?」
「今はいている短い袴みたいなヤツよ。……そう、それよ。……右手は右脚の上、左手は左脚の上。……そう、それで良いわ。……そんなにがっちり握り締めちゃダメよ。力まずに軽く。……上手よ」
「これなら、出来ます」みつが安心したように言う。「ありがとうございます」
「でもね、そこから、もうひとがんばりしてほしいの」百合江は微笑む。「スカートをつかんだ手を、そのまま、ゆっくりゆっくり上げて行くのよ」
「手を上げる……と言うことは、こうですか?」みつは言われた通りにする。元々が短いスカートが段々とめくれ上がり、両方の太腿がゆっくりと露わになって行く。「うおおおおおお!」と男の霊体たちが雄叫ぶ。みつは嬉しそうな顔を百合江に向ける。「百合江殿! これならば出来ます!」
「ちょ、ちょっと、そこまで!」百合江があわてて大声を出す。みつの手が、下着がぎりぎり見えない位置で止まる。「いいわね。手はそれ以上持ち上げちゃダメよ」
「そうですか……」みつは動作を何度も繰り返している。「なるほど、ちょうど拳が二個分ですね」
「……良いのかい? 剣士様にあんなことさせて」
 隅の方で一心不乱に練習を続けるみつを見ながら、楓が百合江に小声で言う。
「良いのよ」百合江は笑う。「建一君は楓姐さんに落ちるだろうから、みつさんには少しでも乙女心が芽生えると嬉しいわ」
「どうしてそんなことを?」
「だって、みつさん美人だしさ、何だかもったいないじゃない?」
「たしかにそうだけど…… でも、理由ってそれだけ?」
「そうよ。……あら、いけなかった?」
「いや、いいけどさ……」
 楓は呆れた表情で百合江を見、練習を繰り返すみつを見ていた。

つづく


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