お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

シュタークスミス博士の大発明 20 ―空飛ぶマント―

2008年12月08日 | シュタークスミス博士(一話完結連載中)
「大発明だ!」シュタークスミス博士は叫んだ。「これで人類は空を征したぞ!」
 博士の発明したものは、内側に特殊で複雑な装置が張り巡らされた、大きめな黒いマントだった。このマントを身に着けて地面を蹴ると、半重力作用が発生し、そのまま空へと飛び上がる。人体に安全な速度と高度の制限を設定してあるので、危険はなかった。
「昔、雑誌で見たSFヒーローのように、大空を自由に飛べるのだ!」
 博士は言うとマントを羽織って外に出て、アスファルトの地面を蹴った。すっとからだが浮き上がり、そのまま上昇し始めた。
「大成功だ! 方向決めは頭と腕を進みたい方へ向ければ良いはずだ」博士は言いながら試した。簡単に進行方向が変えられた。「まるで、鳥だ、飛行機だ、何とかマンだ!」
 博士は制限いっぱいの高さまで上昇し、眼下の世界を楽しんでいた。と、不意に表情がこわばった。
「・・・いかん! トイレに行きたくなってきた!」
 博士は地上に向かって降り始めた。しかし、速度は制限されているため、速くはなかった。
「急いでくれ、持ってくれ・・・」
 必死に叫びながら博士は降りて行った。
 鳥なら、どこかの枝に止まったり、あるいは飛びながらでも可能だが、人間ではそうは行かない。やはり、それぞれの生活に適した場所があり、それを超えると困った事が起きるのだ。


博士の発明に温かい拍手をお願い致しまするぅ



web拍手を送る



にほんブログ村 小説ブログへ


にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コーイチ物語 2 「秘密の... | トップ | ブラック・ジョーク『名医ハ... »

コメントを投稿

シュタークスミス博士(一話完結連載中)」カテゴリの最新記事