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「夏へのトンネル、さよならの出口」感想

【ネタバレ】

◎「夏へのトンネル、さよならの出口」

 「あの日の君に会いに行く。」

 2022年9月9日(金)公開、監督・脚本は田口智久、原作は八目迷、83分。

 塔野カオル(cv鈴鹿央士)、花城あんず(cv飯豊まりえ)のほか、加賀翔平(cv畠中祐)、川崎小春(cv小宮有紗)、浜本先生(cv照井春佳)、カオルの父(cv小山力也)、塔野カレン(cv小林星蘭)など。

 総合評価は、上中下で中くらい。物語としては、概ね楽しめるのでは。なお、メイン2人の演技が楽しさを減じています。

 俳優などが本業のメイン2人の演技が少し下手。これが、いわゆる自然な演技だと言うのなら他のキャラの演技もそうすればいいのに、そうしないから2人の演技が少し浮いています。


○妹のカレンの事故死がカオルのせいにされたりするなどカオルの両親には問題があって(実際はカオルの責任ではありませんが、父は誰かの責任にしないとやりきれないのでしょう。)、それがウラシマトンネル(トンネル内は時間の進み方が極端に遅いので、外に出ると何日も何年も経っていることになる。)で死んだ妹を探そうと思う主因であり、ウラシマトンネルの中から妹を取り戻せば特に父によるカオルへの暴言や暴力がなくなるのではと思っていますし、理由説明なしに何日も家を空けても構わないとカオルは思っています(世間体を気にして父は怒ることはありますが、カオルのことを心配しているようには見えません。)。

○ウラシマトンネルは誰にでも見つけられるものではないのでしょうし、その場所に行っても誰でもそれを見つけることが出来るわけではないのでしょう(通常は人が入らない線路の、しかも線路脇の木が生い茂る急坂を下って更に歩いてという場所にあることもあり。)。
 それでも(少なくとも)生徒の間でちょっとした噂にはなっています。噂になっていれば、小・中・高の生徒の誰かが探検に行くことは間違いありませんが、見つけたという話しはありませんでした。カオルは偶然見つけました。
 カオルには必要だとウラシマトンネルかウラシマトンネルを管理している何者か(フィクションですから、神とか、そんな類い。それらの存在は、示唆されてはいません。)が判断したのでしょう。
 ウラシマトンネルはランダムに現れるだけで神や人間の都合とは関係ないという可能性もありますが、いずれにせよ映画では言及されていません。何年も同じ場所にあって、カオルは同じ場所に戻ってくることができたので、ランダムの可能性は低いか、数十年以上はとどまっているのかも知れません。あるいは、誰かが入っている間は、その人が出るまで動かないだけかも知れません。

○あんずが転校してきた日、いちゃもんを付けてきた(ケンカを売ってきた)小春をあんずは殴り、小春の仲間が先生を呼んでと言っていましたが、やはり呼ばなかったのかな。呼んでいたら、あんずは停学か、自宅謹慎かになってもおかしくないのに。
 後で、小春が謝ってきて、あんずも謝り、解決したようですが。あんずは、自分は悪くないので小春が謝ったら謝るとはカオルに言っていたことと合わせ、あんずの性格を表すエピソードであるとともに、物語に変化を付けるエピソードでした。

 メイン2人の演技が平板なので2人以外のエピソードでもう少し起伏がほしいところでしたが、2人だけのシーンが多いので・・・。カオルの父はカオルに暴力をふるうので、そんな変化はあまり見たくはありませんし。

○とは言いつつ、ウラシマトンネルの中の紅葉した木々は綺麗ですし、あんずのような美人の少しキツめの目元や性格はフィクションとして好きですし、駅でのカオルとあんずの透明ビニール傘を使った出会いや、その後の駅でのヒマワリとヒマワリのエピソードも良いです
 見所はあります。

○公式HPから。
 「ウラシマトンネル――そのトンネルに入ったら、欲しいものがなんでも手に入る。
 ただし、それと引き換えに……
 掴みどころがない性格のように見えて過去の事故を心の傷として抱える塔野カオルと、芯の通った態度の裏で自身の持つ理想像との違いに悩む花城あんず。ふたりは不思議なトンネルを調査し欲しいものを手に入れるために協力関係を結ぶ。
 これは、とある片田舎で起こる郷愁と疾走の、忘れられないひと夏の物語。」


【shin】


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