それでもこの世は生きる価値のあるうつくしい場所と君は笑った
（森 水晶『羽』）
その山に水撒きし夜は燦らめける氷の森の顕われるらし
しろいもの 雪・羽・ミルク・雲・ひかり・百合と梔子・アイスクリーム
（森 水晶）
蟇蛙ねむれる土にやわらかく降り積むものは百合色の雪
ゆらめける魚の影のうつりたり朝のスープの皿にたまゆら
（森 水晶）
うつくしき硝子の魚穢れなき至純のひかりわが生涯の
（森 水晶）
釣りあげし銀の魚をことごとく放ちて部屋を沼となしたり
（森 水晶）
雪の夜カンテラもって立っていた遠いあなたを照らしていたの
（森 水晶）
俺にとってはほかのすべては砂粒さ 音楽と君だけが宇宙
（森 水晶）
真夜中に発光している販売機世界には今我と君のみ
（森 水晶『アウトロー』）
ヘビメタのギターソロの奏でる疾走する哀しみこの部屋に
（森 水晶 『アウトロー』）
働かない決めた一生働かない遊んで暮らす霞を食べて
（森 水晶『アウトロー』）
ミルサーに挽かれし岩塩キラキラとオリーブ油のうえに降りたり
（森 水晶）
ライ麦パン・セロリ・レモン・炭酸水 きれいな朝の食卓のため
（森 水晶）
かなしいことはぜんぶ忘れて君と僕バニラアイスクリームの時間
（森 水晶）
