篠崎博見ミュージアム

篠崎博見作品ギャラリー、受賞歴、活動歴は「カテゴリー」から!

ご来場、ご参加ありがとうございました

2013-10-14 01:15:40 | アート・文化
今日行われた、こども絵画教室の体験会。
沢山のご来場、ご参加ありがとうございました。
作品展示も沢山のひとに見ていただくことができました。

実は今日は、午前中に地区の運動会に参加して、午後から体験会という強行スケジュール。
ちょっと疲れた。
しかしこの稼業、長くやっていると色々な人に出会う。
今日もそんな出来事が体験会中に起きた。

体験会用のテーブルから2mほど離れた所にある、作品展示をしているパネルの方をに目をやってみると、
「いかにも」という風貌のご老人がじぃーっと子供たちの作品を見ているのである。
関わると話が長くなりそうなオーラ満載なので目を合わせないようにしていたのだが、うかつにも目を合わせてしまった!
すると、その老人が私を手招きするではないか。
そして、我が生徒のある作品を指さしてこういうのである。
「この絵はこどもの絵じゃないな。大人の手が入っている。」(大人が描き足しているという事)
当然私は、生徒の絵を取り上げて手を加えて別の絵にしてしまうという愚かなことはしない。
もちろん、これらは子供の力で描いた絵であることを説明したのだが、そもそも、この老人は私がこども絵画教室の講師であることには気づいていないようであった。
すると、さらに老人は続けるのである。
「いいや!これは子供の絵ではないな。俺の目はごまかされんぞぉ!」
と吠えるのである。

実に不愉快だったので、自分が講師であることを明かし、子供自身の力で描いたものであることを伝えた。
それでもこの老人は引き下がれないようで、隠すことはないから本当のことを言えだのなんだのしつこいのである。
私にも意地があるので、かたくなに否定し続けると、やっと子供の力だけであることは信じてくれたようだが、そこから今度は芸術論の話が始まった。

その芸術論に関しても、どうも私とは合わないのである。
案の定、この老人はかつて芸術を志していたようで、自分なりの美学があるのである。
かつては安井曽太郎に弟子入りしただの、誰それに弟子入りしただの、蒼々たる名前をあげてくるのである。
どこまで本当かはわからないが、まぁ、あながち嘘でもないようであった。
しかし、そんなことはどうでもいいのである。
もしかしたら、彼は今現在も画家として活動しているのかもしれないが、余計にめんどくさくなりそうなのでそのことには触れなかった。
芸術論に対しても少しは言い返そうかと思ったが、他の教室の人たちや体験会に参加している人たちがすぐ隣にいるので、迷惑をかけてはいけないと思い我慢した。

老人は、子供が描く自由で奔放な絵をたいそう気に入っていたのだが、だいたいこういう人が言うことは決まっているのである。
「子供は余計なことを考えないから、すばらしい絵が描けるのだ」
「大人は色々な経験を積んで余計なことをおぼえていくから、子供のような自由な絵が掛けなくなる」
「大人になると、この純粋な心がなくなってしまうので、ろくな絵が描けなくなる」
などなど。
以前にもこのブログで書いた気がするが、私はこういう考えが大嫌いなのである。
確かに子供の描く絵にハッとさせられることはあるが、しかし、それでもやはり子供の絵である。
人は、沢山の経験を積み、そのような中で心身共に成長するのである。
それが個人の思想を育んで作品にも現れてくるのである。
そして、芸術を鑑賞する人は、それらに共感するのである。
その証拠に、世界の名画に幼稚園児の作品はないではないか!
もちろん、この老人も「子供の絵はすばらしい」派であった。

その他にも「芸術は自分と向き合うもので、世間とは一線をひいておかねばならない」など、老人は言いたいことを言って去っていった。
当時から世間に認められた有名画家に次々と弟子入りしておきながら「世間とは距離を置け」とは実に矛盾した話である。
しかし、そのおよそ1時間後、老人は再び現れたのである。
そして、私を手招きし、今度は私がどういう絵を描いているのかを聞いてきたのである。
そこで、来週から始まる展覧会の案内状を見せたのだが、老人は口にせずとも、明らかに私の作品を見て失望しているのだ。
まぁ、予測できた反応だったけど。

しかしその後、老人は別の子供の絵(鉛筆画)を指さして、
「実は、この絵があんたの絵じゃないかと思っていたんだよ」
と言うのである。
もう勘弁してください!
確かにその鉛筆画も勢いがある絵ではあるが、明らかに子供の稚拙さが出てるじゃない。
子供の絵には子供の絵の良さがあるけれど、画家が描く深みのようなものは無いもの。
神童なんて呼ばれて、幼いときにすごい能力を発揮する子供もいるけど、そういう子はもう桁外れだよね。
ピカソの幼い頃の絵なんて恐ろしくなるもの。
「神童と呼ばれても30歳になると普通の人」と言う話もこの老人はしていたけど、我が生徒は神童と呼べるレベルではないよ。
第三者が「神童だ」と賞賛する自分の生徒をつかまえて、講師の私が「神童ではない」と言うのもどうかと思うが、30歳になって普通の人になっちゃた人は最初から神童なんかじゃなかったんだよ。
それでも、世の中に芸術家がいるのは、人生の中で色々な経験を積み自分を磨いていったから芸術家になれたのであり、決してみながみな「神童」であったわけではいと思う。

100%子供が描いた絵を見て、
「大人の手が入っている。俺の目はだまされんぞぉ」
と言っている時点で騙されているんだから観念しなよ。

そして最後に「どうだ、俺の話は勉強になっただろ」「俺の話を聞いてどう思った」と言ってくるので、言い返したいのを我慢して穏便に言い返した。
「まぁ、人それぞれということでしょうね。絵に対する向き合い方や考え方もそれぞれの姿勢があるってことですよ」
すると老人は
「うんうん。いかにも現代を象徴する考え方だね。言わずもがな、絵に対する向き合い方は人それぞれだ」
などと言って去っていった。

まぁ、とにかく実力の世界なので、結果を出していくしか道はないからね。
むしろ、芸術家というのは自分の作品に対して、ポジティブな人もネガティブな人も出てくるようでないといけないし、そうなってくることが実力のバロメーターなのかもね。

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