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Sliding Cafeマスターのブログ

WAVES / MPX Master Tape

前回紹介したWAVESのH-EQですが、導入後は毎日使っています。ミックスでも使っていますし、マスタリングではもう絶対に欠かせないプラグインとなりました。H-EQ導入以降、明らかにマスタリングの音質が良くなった、と自分では思います。決して自分の腕が上がったということではなくて、それだけH-EQが素晴らしいということですね。やはり素晴らしい道具を使うということも大切だと思います。

そして、H-EQと同時に新たに導入したWAVESのプラグインMPX Master Tape。見た通りアナログテープレコーダーをエミュレーションしたプラグインです。Ampexというテープレコーダーをモデリングされているそうですが、もちろんAmpexのレコーダーは使った事もないし、音も聴いた事が無いので(Ampexで録音されたレコードの音としては聴いているのだと思いますが)、どれ位オリジナルのAmpexに近い音なのかは全くわかりませんが、MPX Master Tapeを実際にミックスで使ってみた印象では、程よく心地良いアナログサウンドになるようです。アナログ感の付加具合もとても上品。

Master Tapeというネーミングからして、マスターフェーダーあるいはマスタリング時に使うのが本来の用途なのかもしれませんが、2ミックス全体に使うとこのプラグインの色付けが強く付いてしまうので、2ミックス全体にかけるよりというよりも主にミックス時のベース、ドラムトラックに挿して使っています。MPX Master Tapeを挿すと程よくドライブ感が加わり、ベース、ドラムに少し「熱さ」を加えることができます。特に打ち込み音源には効果的ですね。ドラムセットの各楽器をまとめたドラムミックストラックに挿すとドラムセットとしての一体感が出ます。

基本的にマスタリング時には使用していませんが、2ミックスの音質に問題がある場合は、MPX Master Tapeを使う場合もあります。具体的には線の細い音質、いわゆるしょぼい音の2ミックスにMPX Master Tapeをインサートすると線の細さが少し改善できます。線が細い、しょぼい音というのは、豊かな倍音が含まれていない、少ないということなので、アナログテープに通すことによって(今回はそのシュミレーターですが)倍音が付加され、少し音質を改善できるのだと思います。

また、MPX Master Tapeにはテープエコー機能もあるので、ギターソロなどのディレイとして使うのも効果的です。ディレイマシンとはまたひと味違うテープエコーならではのサウンドです。更にアナログテープならではの「サー」というヒスノイズも出力されるので(もちろんOFFにすることもできる)、意図的にヒスノイズを加えてミックスをするとデジタル特有の輪郭のハッキリし過ぎるサウンドが少し柔らかくなる印象があります。デジタル録音、デジタルミックスというのはある意味純度100%、不純物の一切無い世界とも言えるので、テープヒスノイズのような不純物が加わる事によって少し「味わい」みたいなものが出るのかもしれませんね。ただし、このヒスノイズを加える量はごくごくわずか。音楽が鳴っている間はノイズとして認識できない程のレベルですが、確かに耳には入っているはずです。音楽に限らず、純度100%よりも少し位不純物が混じっていた方が、奥行きが出て立体的になり、味わい深さも出るものです。

その他、ワウフラッター(テープの音揺れ、回転ムラ)も表現できたり、テープスピードを選択できたり、その他本物のアナログテープレコーダーと同様の調整ができるようです。
詳しい解説はこちら

MPX Master Tapeの開発には約2年の歳月を費やしたそうですが、本物のアナログテープレコーダーの音を知らないような(カセットテープなら耳馴染みがありますが)僕でもよくモデリングされたプラグインだと思います。テープの質感を加える目的だけではなく、過大入力によるアナログ特有の歪み感を加える等のエフェクティブば使い方をしても面白いと思います。

僕達はこういう便利で素晴らしいプラグインをただ使うだけの立場なので、いったいどういうアルゴリズムでアナログ機器をデジタル領域で再現できるのかについては全くわからない(そもそも興味はない?)のですが、新しくこういったプラグインが出る度にただただ頭が下がります。

また、音質には全く関係無い部分ですが、音楽の再生が始まるとMPX Master Tapeの画面上のテープレコーダーが本物のレコーダーのように回転するんですね。それもかなりリアルな回転。一見どうでもいいような事ではありますが、テープがリアルに回っている所を見るとなんとなく気分が盛り上がります!・・・と、ただそれだけなんですが、無駄とも思える部分にまでリアルさを追求するところはWAVESならではの魅力でしょうか。こういったこだわりの部分もユーザーを惹き付ける要因のひとつなのかもしれませんね。これだけ凝ったGUIでも動作は極めて軽く、CPU消費量も少なくて快適です。さすがWAVESです。


最近はWAVES製品のレビューブログになっていますね。関心の無い方はゴメンナサイ。

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