最近のBach

最近、2人の生徒さんが立て続けにそれぞれBach 16と12を購入されたので、吹かせてもらいましたが、2本とも吹きやすく良い楽器でした。最近のBachの音色傾向としては、昔のBachのようなダークさが無くて、明るく抜けの良い音色でバリバリとパワフルな音が出しやすいように思います。1970年代頃までのBachはダークな音色でなんとも言えない味わい深さがありましたが、最近のBachは往年のBachのような味わい深さは影を潜め、ブライトで鳴りの良い楽器に変貌したようです。これも現代の音楽傾向からすれば当然の音色傾向であるとも言えます。特に細管はいわゆる電気楽器(エレキギター、エレキベース、シンセ等)や大音量のドラムと一緒に演奏する機会が多く、そのような大音量の中でも埋もれることなく音の存在感を出すためには、やはり明るく派手でパワー感のある音色である必要があります。往年のBachのような渋くダークな音色だと、ロックやファンクのような大音量バンドの中では埋もれてしまうと思います。しかしながら、最近のBachのような明るくパワー感のある音では、渋いジャズやスウィート系の音楽には少し不向きで、じっくり聴かせるような音楽には、やはりヴィンテージと言われる時代の楽器の方がしっくりくるように思います。

僕は往年のBachのダークで味わい深い音色も好きですし、最近の明るくパワフルなBachの音も好きです。と言いながら、僕の一番のお気に入りはやはりYAMAHA YSL-697Zで、この楽器はもうかれこれ15年使っていますが、その間DCTV処理等ありとあらゆるカスタマイズを施した結果、往年のBachのようなダークで味わい深い音もありつつ、最近のBachのような明るくパワフルな音も出せて、しかも吹奏感はKing 2Bのような軽快なレスポンスがあり、絶妙のバランスを持ち合わせた楽器に仕上がりました。これが697Zの後継機種897Zになると、697Zの軽快さは継承されてはいますが、897Zは音が軽いというか明る過ぎて、僕の感覚としては897Zの音は全然面白くない。

最近のブライトな音色傾向のBachにも魅力を感じますが、やはり僕にとっての理想の楽器は697Zです。YAMAHAなのにBach以上に往年のBachらしい音がします。