ここで言う邦楽とはいわゆるJ-POP全般、洋楽とは主にアメリカ音楽(ロック、ブラコン、R&B等)の事をさします。
今現在、アメリカとヨーロッパ市場向けの音楽制作に取り組んでいる最中なんですが、邦楽の楽曲の作り方とのあまりの違いに、かなり困惑してます。クライアントさんからなかなかOKをいただけません。何度も何度も作り直しの連続で、一時はノイローゼになりそうでした。今まで邦楽を制作してきた経験とノウハウでは全く太刀打ちできんのです。
思うに今巷で流行っているJ-POPのほとんどは主にアメリカ音楽からの影響を受けて出来ているサウンドなので、邦楽と洋楽の差はそれ程無いようにも思えます。が、邦楽は表面的には洋楽のサウンドを真似ているようでも、やはり根底には「日本人的リズム」が脈々と流れているのです。これだけ日常的に洋楽のサウンドを耳にする時代になっても、この「日本人的リズム」だけは変わらず、ほとんどの日本人は「日本人的リズム」の方を好む傾向にあるように思います。
売る側の立場からすれば、日本人の好むリズム、メロディー、曲構成の楽曲を作らないと売れないわけですから、洋楽のスタイルを借りつつも日本人の好みに合うようにしている訳です。食べ物なんかでも、例えばエスニック系の料理とか本場の味をそのまま日本で出してしまったら、まず日本人には受け入れてもらえないので、たいがいは日本人好みの味に変えてありますよね。それと同じです。音楽の場合は、要するに「和風洋楽」にしている訳です。
この「和風洋楽」の市場のほとんどが日本国内向けであって(歌詞も日本語だし)、ことさら「和風洋楽」だからどうのこうのと言っても始まらないし、これはもう日本独自の音楽と言えるでしょうね。
そういう僕も子供の頃から歌謡曲に慣れ親しんで来た訳で、当然今のJ-POPも大好きなので、やはり根底に持っているのは「日本人的リズム」であり、日本人的趣向であると思います。
が、今取り組んでいる仕事においては、この「日本人的リズム」と「日本人的趣向」がとても障害となっているのです。洋楽も昔からよく聴いてきたし、今では邦楽よりも洋楽を聴く方が多く、洋楽のリズム感覚とかも理解していたつもりだったんですが、聴くのと作るのでは大違い。アメリカ人が納得するリズムをなかなか作り出せません。
リズムは理屈でなく、身体の中にある感覚が全てですから、アメリカとかで生まれ育って身体でそのリズムを体感していない限り、本当は無理なのかもしれませんね。なら、なんで日本人の僕がアメリカ市場向けの音楽を作らないといかんの?という根本的な疑問も湧いてくる訳ですが(ネイティブのアメリカ人が作れば全く問題無いでしょう)、どうやら制作側の都合でそうもいかないみたいなのです。
日本人のリズム感覚と欧米人のリズム感覚の明らかな違い。これは一生悩み続ける問題だな。
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