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Sliding Cafeマスターのブログ

MST STUDIO MOUTHPIECESレビュー

昨年12月にFacebookに投稿した記事ですが、こちらに投稿するのを忘れていたので以下に記載しておきます。

福岡のビッグバンドAdvanced Music Gallery(AMG)のトロンボーン奏者横山 雅史さんの紹介で知ったドイツの2020年創業の新興マウスピースメーカーMST STUDIO MOUTHPIECESを2023年10月から使い始めました。最初にK NY Nを購入。そのあまりの素晴らしさにぞっこん惚れ込み、直後に別モデルのM NとMSE Nも購入。3モデルとも本当に素晴らしく、それぞれ明確な特徴があります。

3モデルの各スペックは以下。
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スロートサイズ : 5.8mm
リム内径 : 24.4mm
リム外径 : 39.0mm
重量 : 186g

MST STUDIO M N*オススメ!


スロートサイズ : 5.9mm
リム内径 : 24.6mm
リム外径 : 39.0mm
重量 : 212g

【MST STUDIO MSE N】*M N Special Edition


(M Nを軽量化したモデル。販売ページ未記載)
スロートサイズ : 5.9mm
リム内径 : 24.6mm
リム外径 : 39.0mm
重量 : 194g
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左から、K NY N、M N、MSE N

K NY Nは一番最初に買ったモデルですが、とにかくレスポンスが素晴らしく、唇にマウスピースを当てて軽く息を入れただけで立ち上がりの速い音が出ます。唇を頑張る必要がないので、バテにくく耐久力が持ち長時間演奏が可能です。バテた後でも唇の踏ん張りが効く感じ。リムの口当たりは非常に心地良く、しっかりとしたグリップ感があります。唇の自由度が高く、リップスラーが容易で高音を楽にヒットさせることが出来ます。一般的に唇の自由度が高いラウンド(丸っこい)リム形状は音の立ち上がりが遅く発音が不明瞭になりがちですが、MST STUDIOは全モデルに共通して、唇の自由度がありつつも音の立ち上がりが非常に速く、そして発音(タンギング)の瞬間の音がとても綺麗。K NY Nはビッグバンドのリード、スピード感ある音を求めらるホーンセクション(ロック、ファンク、サルサなど)に最適。

M Nモデルは、基本的な特徴はK NY Nとほぼ同じですが、サイズが少し大きい分、より唇の自由度が高い感覚があります。重量が212gと重いので音の密度が非常に高く、強奏時においても音割れしません。重量が重くてもレスポンスは非常に速く、楽に吹けます。倍音豊かな味わい深い音色で、強奏時にはまるで太管のようなぶっといパワフルな音を出せます。自分の思っている以上に大音量が出ており、破壊力(いい意味で)と貫通力、遠達性が凄まじいです。ジャンル問わずオールラウンドで使えるモデル。今のところ、このM Nモデルが一番のお気に入りです。現在メインで使用中(2024年11月時点)。イチオシです!

MSE NはM Nモデルを軽量化したスペシャルエディション。M Nに比べると柔らかく優しめの音色で、音の立ち上がりも少し丸っこい感じ。いわゆるダーク&ウォームサウンド。味わい深いジャジーな音色が魅力的です。3モデルの中で最もジャズ寄り。特にジャズコンボではジャジーな音色でとても気持ちよく吹けるでしょう。

では、2020年創業の新興マウスピースメーカーがなぜこんなにも素晴らしいのか。オーナーのMarkus Starkeは元プロのトロンボーン奏者で、現在は経営コンサルト業を営みながら副業でMST STUDIO MOUTHPIECESを運営しているのですが、マウスピースを製作しているのはアメリカの楽器メーカーKanstul(カンスタル/2019年に廃業)の元職人James R.Newです。

R.Newはカンスタル創業時の一番最初の職人であり工場長でもあった人で、カンスタル時代にはロサンゼルスのスタジオプレーヤーの要望に応えてカスタムマウスピース(トロンボーンでは、アンディ・マーチン、チャーリー・ローパー、アラン・カプラン、バストロのジョージ・ロバーツ、ビル・ライケンバック、フィル・ティール)を製作していたそうです。ジャズ・ポップス系からクラシカルなオーケストラものまで、ありとあらゆる音楽ジャンルと編成に対応しなければいけない世界一厳しいロサンゼルスのスタジオプレーヤーの要望に応えるマウスピースを作っていた職人だけに、彼の作るMST STUDIOもまさに「非の付け所がない」完成されたマウスピースです。2019年のカンスタル廃業後に独立、カンスタル時代の全データを引き継ぎマウスピースを製作しています。

また、彼は伝説のマウスピース工房ジャルディネリのオリジナル全データ(設計図面)と製作ツールを所有しているそうで、ジャルディネリの復刻版NY CLASSCも製作してます(発売元は眞田貿易/ジョイブラス)。

R.Newはカンスタル時代から現在まで50年間マウスピースを製作している職人で、50年以上のキャリアを持つ現役のマウスピース職人は世界でも数人しかいないはず。そんなレジェンド職人が作るマウスピースはやはり最高に素晴らしく、凄みさえ感じられます。吹かなくても唇にマウスピースを当てただけでその極上の口当たりの良さに魅了されます。まさにマウスピースの神。

マウスピースの神としては、
東(ニューヨーク)のGreg Black、西(ロサンゼルス)のJames R.Newといった感じでしょうか。ジャルディネリの愛弟子John Storkも加えて、マウスピース三大神(あくまで個人的見解)

MST STUDIO M Nをメインで使い始めて約1年経ちましたが、マウスピースに関する悩みや迷いなどが一切無くなりました。最高のマウスピースです。ただし日本に代理店が無く、メーカーサイトから直接購入するしかありませんが、プロ、アマ問わず是非試してもらいたいマウスピースです。一度このマウスピースを試してみればきっとその素晴らしさに魅了されることでしょう。




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