『アンハッピードッグズ』近藤史恵01(ポプラ文庫2011/2/5)
真緒と岳はパリで犬の弁慶と共に同棲中。幼稚園からの知り合いという、恋人のような、只の腐れ縁のような2人。
ある日岳は空港で置き引きにあった日本人のカップルを連れて帰ってくる。
奇妙な同居生活はやがて4人の関係を微妙に歪ませてゆく…。
文庫版あとがきに「当時は恋愛小説だと思っていたが、読み返してみると少し違う気がした。
むしろ、恋が指の間から抜け落ちていく物語だと思った。
恋に似たもの、執着だとか友情だとか共犯関係ばかりがあって、結局恋はひとつも描かれていない。
だが、欠落もなにかを伝えることができる。そういう意味ではこの小説を恋愛小説と呼ぶことに迷いはない」と記されている。
・「結婚って、どんな感じ?」(略)
「やっちゃったって感じ(略)
勢いっていうか、そういうものの方が大きかったような気がする」 P42
・しあわせな恋愛には他人の目が不可欠だよ P97
・大抵女性は『いい人』だという男性は本当に男扱いしていない。
恋愛の対象としてみていない P125
・強引に誘われたり、口説かれたりすること自体が嫌いな女性は、そんなにいない。
あまり気がのらないふりをしたり、押し切られたふりをするのは、たしかに気分がいい P127
・「別れたい」と「別れたくない」との間には妥協点なんて存在しない P133
・傷つける方が、痛いときだってある P180
・失う予感のない恋愛というのがこの世にあるのだろうか P195