『タスキメシ』額賀澪02(小学館 2015/11/30)
主人公眞家早馬は高校三年生で長距離選手として将来を期待されていたが大けがでリハビリ中。
担任の配慮で料理研究部と繋がりができ、
父子家庭で偏食が激しい同じ長距離選手として将来を期待されている弟のために、
たった一人の部員で料理上手の井坂都に料理を習うことにする。
復帰出来ても、高校最後の競技会には間に合わない、競技者としての葛藤、
井坂も父子家庭で料理が心の支えで同学年の一人っ子、陸上競技と料理が交差しながら描かれた青春小説。
この小説はこう終る。
・眞家早馬の最初で最後の箱根駅伝は、給水係として並走した数十メートルだけだった。
虚しいと笑う人もいるかもしれない。
高校三年の、陸上から離れようとしていた自分は「ほれみたことか」と憤っているかもしれない。
格好悪いと。情けないと。いいじゃないか。高校三年生の自分の肩を叩いてやる(略)
すうっと、涙が一筋、頬を流れていった。
言葉で到底言い表せない、眞家早馬の複雑怪奇な感情が入り交じった雫は、一月の風にのって飛んでいった。
遠く遠く、自分には到底辿り着けない場所を目指して走る彼らに、寄り添うように P301
・面倒になってやめちゃうくらいなら、裏技使って楽して続けた方がずっとマシ P26
・諦める勇気があったんだ。続ける恐怖なんて、きっと乗り越えられる P267