『まち』小野寺史宜(祥伝社2019/11/20)
尾瀬ヶ原が広がる群馬県利根郡片品村で歩荷をしていた祖父に育てられた江藤瞬一。
高校卒業とともに上京し、引越の日雇いバイトをしながら荒川沿いのアパートに住んで四年になる。
かつて故郷で宿屋を営んでいた両親は小学三年生のときに火事で亡くなった。
二人の死は自分のせいではないかという思いがずっと消えずにいる。
近頃は仕事終わりにバイト仲間と他愛のない話をしたり、
お隣の母子に頼まれて虫退治をしたり、町の人々に馴染みつつあった。
そんなある日、突然祖父が東京にやって来る。
じいちゃんが、父が、母が、身をもって教えてくれたこと。
・無駄に受け止めるから無駄に疲弊してしまうのだ(略)
時には受け流すことも必要なのだ P73
・ただやることが大事なのだよ。
いちいち理屈をつけたりしないでさ。
やっちゃえばいいんだ。
そうすれば、何だって身になるんだから P110
・ものをおいしく食べられること。
それは幸せ以外の何ものでもない P155
・頼る側じゃなく、頼られる側でいろ(略)
お前を頼った人は、お前をたすけてくれるから。
たすけてくれなくても、お前を貶めはしないから P164
・大事なのは、まちがいを起こしたあとだよね。
そのあとにどう動けるか P193
・じっくり考えてどうするか決めたら、そのときはすぐに動け。
決めるまでは迷え。
でも決めたら迷うな P242