『脱・限界集落株式会社』黒野伸一05(小学館文庫2016/11/13)
限界集落と言われ、過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難だった止村は東京からきた多岐川優の活躍で、なんとか窮地を脱した。あれから四年。麓にはショッピングモールができるなど、止村は活況が続いている。そこへ麓の町の駅前開発計画が持ち上がり、世論は二分される。その争いは多岐川家の夫婦間にもおよび、美穂は家を飛び出し、住民投票での劣勢が予想される側である駅前商店街保存に奮闘する。現状維持か、都市開発なのか。
日本のそこかしこで直面している問題に切り込む地域活性エンタテインメントの続編。
・求められる快感というか。
頼りにされる優越感というか。
感謝される満足感というか P150
・他人の揚げ足を取ることしか頭になくて P184
・失敗しないためには、多くを求めなければいい。
小さくまとまれば、それだけリスクは少なくて済む(略)
ライフスタイルそのものは、人生の目標ではない。
そこそこ意義のある、こぢんまりとした生き方を身に付けたところで、
これから先の長い人生、いずれ退屈する時が来る P247
・人に感謝されることのありがたみ(略)
笑顔でお礼を言われると、次はもっと役に立ちたいと考える P312
・人の言うことを途中で遮り、
早口でまくし立てるのは、
ボロが出るのを恐れているためだ P345
・殴るのを自制するのは、殴っちまうより勇気のいることだ。
殴られたら、痩せガマンせずに、痛さをアピールすれば、相手にダメージを与えることだってできる。
相手は生涯罪悪感を背負うからな P432