『小夜啼鳥の役ならば』
小夜啼鳥の
役目なら
別にあの時の
アイツで構わないさ
語り合い
絡み合い
溶け合うだけの夜さ
小夜啼鳥の
役目なら
別に君である
必要はないのさ
宥め合い
穢し合い
傷を舐め合うだけの夜さ
小夜啼鳥の
役目なら
むしろあの日の
アイツの方が向いてるよ
※1/10書いた未発表のもの。
『後向きの空』
うまくは
言えない
けれど
間違ってはいない
私の見る空は
いつだって後向き
いつからだろう
気付けばそうだった
もしかすると
現実ですら
ないのかもしれない
深まる夜には
街明かりも星さえも
どんどんどんどん
消えて行く
まるで役目を終えて
抜け殻から放たれた魂みたい
ふと
本当の空を見せてくれる人
そんな不思議な彼女は
つかず離れずいつもの場所に居る
うまくは
言えない
けれど
間違ってはいない
私の見る空は
いつだって後向き
それでも構わないと
きっと彼女は言うのだろう
そして彼女は語り出す
本当の空の話を
ついさっき
見てきた空の話を
※1/10に書下ろし