5️⃣ ツイータを追加したサウンドプレートの周波数特性
当初の構想では、P650Kの高音域を改善するために、本格的な2wayにしようと思っていました。作製したP650K単独のSPL周波数特性をみると概ねフラットなので、P650Kはスルーとして、ツイータだけにハイパスフィルタ(HPF)を入れた簡易なネットワークにしようと思います。
用いたツイータの主な仕様は、
形式:20mmシルクドームツィーター(ネオジウム磁石)
インピーダンス:6Ω
最低共振周波数:2000Hz
再生周波数帯域:fo~>20kHz
出力音圧レベル:〜87dB/W(m)
入力:30W
です。
図6は、ツイータをケーブル端子に直付けしたときのSPL特性とインピーダンス特性です。P650KのSPL特性も併せて示します。ノーブランド品ですが、良好な特性です。
図6ツイータとP650Kの単独での直付SPL特性とツイータのインピーダンス
ツイータに用いるHPFは、6dB/oct と12dB/oct の2種類を試しました。
Case1 (6dB/oct); ツイータに直列に1μFフィルムコンデンサを接続し、アンプに対してツイータ を逆接続。
Case2 (12dB/oct); ツイータに直列に 1μFフィルムコンデンサ、並列に 0.047mHコイルを接続して、アンプに対してツイータ を正接続。
ツイータに、Case1 (6dB/oct) とCase2(12dB/oct)のHPFを接続したときのSPL周波数特性変化を図7に示します。なお、P650Kは、何れの場合もケーブル端子に直付の正接続です。
図7 ツイータに6dB/oct、並びに12dB/octのHPFを接続したときのSPL周波数特性
6dB/oct のフィルタの場合には、図6で示したツイータのSPLが大きい1.5kHz以上の周波数で、ツイータ無しに比べると、SPLが2〜4dB程度増加しています。これは、①HPFでの減衰が小さい、②6dB/oct フィルタのシミュレーションによると、1.5〜15kHzの範囲でP650Kとツイータは同位相になる、ためです。なお、15〜18kHzでは逆位相、18〜20kHzでは同位相と変化します。
一方、12dB/oct のフィルタの場合には、8kHz以上でほぼ同位相になります。この場合、フィルタでの減衰が大きいために、12kHz以下の周波数では殆どSPLへの影響は無く、12kHz以上の周波数でSPLの低下を補っています。
6dB/octと12dB/octのどちらのフィルタが良いのか、少し悩みましたが、6dB/octフィルタを採用しました。分割振動の影響でSPLが低下する3.5〜10kHzでの音圧低下を補えるからです。
6dB/octフィルタでの、ツイータ軸からの角度、0°、15°、30° でのSPLの周波数特性とインピーダンス特性を図8に示します。ツイータ軸からの角度によるSPLの大幅な低下は見られません。
図8 ツイータ軸外角度、0°、15°、30° でのSPLの周波数特性(6dB/oct HPF)とインピーダンス特性
図5に示したツイータ無しの単独のP650Kの特性と比較すると、高音域でのSPLの極端な低下は無く、リスニング角度による音圧変化が少ないことが分かります。
ツイータにコンデンサ1個だけ付けた簡単なネットワークですが、高音域での周波数特性を大きく改善できました。
〈続く〉