ユニット軸上100cmでの1/3oct smoothing での最終的な SPL周波数特性及びインピーダンス特性を示します。
〈ユニット軸上100cmでの1/3oct smoothing でのSPL周波数特性、並びにインピーダンス特性〉
当初のシミュレーションから予測されたSPL特性と比較すると、最低音域の肩特性以外は、ほぼシミュレーション通りになっています。
200Hz近傍の14dB程度の深いディップ が気になりますが、シミュレーションからも予想されていたものです。これは、今回のパラボリック音道に固有のものではなく、程度の違いはありますが、特に小型のバックロードホーンでは付き纏う特性のようです。FOSTEXのバックロードホーンの作例でも、しばしば見受けられます。
また、3〜8kHzでの幅広いディップも少し気になりますが、これはある意味、スピーカユニット PM-M0841CKの個性かと思います。この周波数帯域では、スピーカユニットの振動板とエッジが逆共振して、発生する音を打ち消し合っているようです。
160〜240Hzでのディップを除けば、 60〜20kHzの周波数範囲でのSPLの変動は、±5dB 程度には納まっています。
実際に音楽を聴いてみると、吸音材のない時に気になった共鳴ピークによるホーン的な響きは全くありません。また、キンキンする音は無く、人の声も自然で、聴きやすい音質です。60Hz程度からの低音の下支えがあるためか、音の広がりや、スケール感さえも感じられます。
ベートーヴェンの交響曲を聴くと、その雄大さが実感出来ました。また、ジャズを聴いても全く不満がありません。
3インチスピーカ、侮る無かれ!
<終わり>
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<補足>
測定データを元に、ユニットと開口部の位相変化 に注目して、200Hz近傍でのディップの生成について考えてみました。
〈ユニットと開口部の位相変化による200Hz近傍でのディップの生成〉
ユニットと開口部からの音の位相を調べると、ユニットの位相は、基音70Hz以下の低周波数から6倍音の450Hz付近まで変わりません。一方、開口部からの位相は、ユニットの位相に対して、基音より低い周波数では逆相、基音から2倍音の150Hz付近までは同相ですが、150Hz付近から4倍音の260Hz付近までは再び逆相になります。このため、基音70Hz以下の周波数でのSPLの低下、更には、2倍音と4倍音の間の200Hz近傍で大きなデップが生じることになります。
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