お正月気分をなんとなく残したまま、
昨日より銀座平野屋は通常営業に戻りました。
ただ今、1/15よりはじまる銀座本店のバーゲンに向けて
鋭意準備中です。今しばらくお待ちくださいね。
◇◆◇◆◇◆
銀座平野屋には普段お客様の目にはふれないけれど、
素敵なものが数々ございます。
それは江戸からの粋を伝えるものであったり、
先人の技や美を伝えるものであったり様々です。
その中で銀座平野屋には、先人の技が光る逸品もございます。
『煙草ケース“長門”』
縦8.5×横6.5×幅2.5cm(蓋をした状態)
煙草ケースは以前にもご紹介したことがございますが、
赤×金の色合いがとても鮮やかなこちらは、
和紙を重ねて容器の形を作り、何度も色漆を塗り重ねて
研ぎ出して、色のまだら模様を浮き出させる
「研出(とぎだし)」という技法で作られた煙草ケースです。
内側。黒漆による塗りが施されています。
ちょうどキャラメルの箱が入る大きさです。
上の写真とは異なる面を出しています。
何度も何色も色漆を重ねることでさらに複雑な模様も出ます。
こちらの煙草ケースは黒×赤×緑×金の色が出ています。
(お正月に伺った知人宅で現在所蔵している煙草ケースです。
上のケースと同じ職人によって作られたものです)
内側。こちらも黒漆で仕上げられています。
蓋の側面も美しい出来映えです。
このように色漆を重ねて何度も何度も研ぎ出すので、
大変手の込んだ逸品です。
実はこの煙草ケース、昭和40年代終わり頃までは
千葉の市川〜本八幡付近に作成する職人がいたのです。
その方が「最後の職人」だったようで、
それ以降は、もちろん現在に至るまで作成されていないという逸品です。
ただ煙草の箱を入れる目的だけに作られた美しい小箱。
使っていた人と作った職人のこだわりが感じられる逸品だと思います。
それだけにもう作られていないのが本当に残念です。
平成ももうすぐ終わるという昨今。
こういうもの、まだいっぱい出て来るんでしょうねえ。
銀座平野屋にはまだ別の煙草ケースもあります。
そちらはまた別の機会に。。。
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