モノクロの写真に色のついた格子の線を加えるだけでカラー写真に見える画像(上の写真など)が話題になっていますね。
一見カラー写真に見えますが拡大すると確かにモノクロ写真です。
じつは人間の目には、モノクロだけど高感度かつ高解像度な光受容体と、感度も解像度もそれほどではないが赤、緑、青のそれぞれの波長を見分けることができる光受容体があるんですね。
つまり、もともと人間の目は高精細なモノクロの映像に、低解像度の赤、緑、青の色成分で色を付けるというようになっているのです。そこで、解像度の足りない色成分は脳内で補完して、あたかも高解像度のフルカラーで見ているように錯覚しているのです。
たとえばアナログ放送のテレビもこの原理を使ってカラー放送をしていました。アナログのテレビ放送は最初モノクロ放送でしたが、のちにモノクロ放送の情報の上に少ない情報量でカラー成分を送って、テレビ受像機の中でモノクロテレビの画像に色を付けるという方法を行っていました。
また、カラー写真がなかった時代に、モノクロ写真のうえから薄く色を塗ることでカラーの絵ハガキにして売っていたそうです。これも、精彩に色を載せる必要はなく、肌色や着物の上にそれらしく色を塗るだけでフルカラーの写真に見えるというわけです。
さて、最初の写真に話を戻すと、モノクロ写真の上にまんべんなく色を載せているわけではなく、色のついた格子模様を載せていますね。
この格子模様の色によってその周辺の色の見え方が影響を受ける錯視を「色の同化」といいます。
下の画像がわかりやすいですね。
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この画像のaのオレンジ色と、bのオレンジ色はまったく同じ色(ともにカラーコードでいうと#FFCC00)なのですが、bのオレンジ色の方が赤っぽく見えますよね。
この原理を応用したのが、ミカンを入れる赤い網の袋です。ミカンの色が網の赤色のせいで、より赤みがかったおいしそうなオレンジ色に見えるというわけです。